NY研修旅行感想文
参加者の声
第 17 回大会優勝 市立札幌開成中等教育学校 浜野 憲義・後藤 康太
後藤
優勝からとんとん拍子で予定が決まったニューヨーク・ボストン研修旅行でしたが、まさか1か月後にニューヨークに行くことになるという想定はあまり頭の中になかったので、ドタバタの準備の中でニューヨーク行きを迎える事になりました。
迎えた当日、どこかで不手際があるのではないか、と不安はありましたがなんとか出国でき、無事ニューヨーク行きの便へと搭乗出来ました。12時間ほどをかけ着陸する寸前に見えた街並みからは、こんな遥か遠くの地にも人が住んでいるのかと妙な感動を覚え、同時にようやく自分はニューヨークへ来たのだと、実感しました。ニューヨーク到着後、初日はホテルへと向かったのち、自由の女神を遠くから鑑賞。マンハッタン島から見たこともあり、想定よりもかなり小さかったことに驚きました。
2日目以降は、企業や機関の訪問に加えてタイムズスクエアやセントラルパークといった代表的観光地や美術館・博物館といった様々な場所に訪問させて頂きました。特にニューヨーク証券取引所は、今回の研修の一番の目玉でもあり、私が最も楽しみにしていた場所でもあります。日々絶え間なく動く世界経済の中心地では、言葉にならないほどの活気があり、思わず圧倒されてしまいました。更にはクロージングベルの瞬間にも立ち会えたので、個人的には大満足でした。また日本総領事館では、ニューヨークの投資家の視点や日本の現在の立場についてお聞きし、地政学的観点も交えながら、現在の日本の重要性が増していることや、車やアニメ・漫画、更には日本酒など、日本が世界と戦える分野は数多くあることをお話させていただきました。ニューヨークは正直な所、地域差こそありますが日本と比較すると決して清潔とは言えない場所です。都市の中心部でもごみや動物の死骸が落ちており、路上生活者の方も多く見受けられました。しかし、訪問させて頂いた企業の入る建物に一歩足を踏み入れると、そこには非常に清潔で整った空間が広がっていました。清潔な空間で経済が回っているその足元で、過酷な環境が待ち受けている。この差こそが、資本主義の中心地ニューヨークの格差なのだと感じさせられました。また、研修の中盤で訪問したボストンでは、ジョンハンコックの方に街を案内して頂きましたが、ニューヨークとは対照的に街全体が清潔で落ち着いており、どちらかというとヨーロッパ風の街並みで、一口にアメリカと言っても、都市によって全く環境が違うのだという事も、強く印象に残っています。
そしてこの研修旅行を通して、最も重要と感じたものはやはり「英語」です。恐らくこの研修に参加された多くの方が英語について言及されていると思いますが、それを承知の上で、本当に英語が重要だと言いたいです。基本的に、買い物など日常のちょっとしたコミュニケーションを取る分には、ノリと笑顔である程度言いたい事は伝わります。更に観光客という立場であれば、相手も観光客にはある程度は慣れているので比較的わかりやすい英語で話してくれます。しかし、ビジネスなどの真面目な場面では、「何となく」の英語は通用しませんし、個人差はありますが人によっては早口でネイティブ向けのように話してきます。こういった場面でも対等に、語り合っていく為にはやはり学校で習うような基礎的な英語力とコミュニケーションを取る上での英語力、その両方が重要になります。特に今回の研修旅行では、もっと相手の言っていることを聞き取れるようになりたい、という悔しさと共に、英語が出来るだけでもこんなに自分の見える世界が広げられるのか、と大きな可能性を感じさせられました。今後の人生何があるかはわかりませんが、こういった英語力の向上は絶対にプラスになると思います。
最後に、このニューヨーク・ボストン研修旅行を通して、様々な貴重な経験をさせていただきました。このような場を提供して頂いた皆さま、協力して頂いた皆さまに、この場をお借りして感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
浜野
3月13日にはマスクの着用が個人の判断となり、5月8日からは新型コロナの扱いが5類に引き下げられる予定、と徐々に「アフターコロナ」の雰囲気が漂う春休み、我々一行は5泊7日のNY研修へ向かった。今回は第16回大会優勝ペアの片割れを含め高校生は3人。その前の14回・15回大会優勝者は昨年9月に研修へ赴いた。という事はこの文章が掲載される大会報告書には7人の感想文が掲載されるわけで、私はその6番目。最早、殆どの人が読み飛ばしているだろう。であるから、この文章を態々読んでくれる奇特な人に少しだけメッセージを残しておこう。第一に興味を持たれるのは「英語力」についてだろうか。自分は英語が出来ないけど行っても大丈夫かなぁ、と心配している人も多くいるに違いない。
結論:「求めるレベルによる」
まず、買い物や人とぶつかった時など企業訪問以外の専門性を要さない所謂「日常会話」について言えば、“Yes”,“Thank you”,“Sorry”の3つを適切なトーンで言っていれば、入国審査以外では困らない。(入国審査は事前に聞かれる事を調べておいてガチガチに回答を決めておこう)
次に、美術館や博物館の展示についた解説を読む時、町の標識やポスターを読む時などのReading。これは受験英語が役に立つ。極めて。一般に大学入試対策として用いられる有名な英単語帳(仕組みを意味する英単語が入るアレや標的を意味する英単語が入るアレとかだ)に載る英単語と高校英文法を完璧にして行けば、読む事にはまず困らないだろう。近年、「受験英語」を軽視する風潮が目立つが、ことReadingについて言えばそんな事はない。
最後に、企業訪問で訪問先の外国人による英語での説明。これについては生半可な英語力では無理だ。多くの高校生には太刀打ち出来ないだろう。ただ、人によっても親切さに濃淡がある。今回の旅行でいえば領事館の人は意図的にゆっくり喋っていて、理解しやすかったし、ジョン・ハンコック社の人は容赦なくネイティブのスピードで私は1㍉も分からず、途中で諦めた。これについては自分がこれなら頑張れば聴ける!と思った時に、全集中力を傾けて聴けば良いと思う。全部を聞くという事は大多数の高校生には不可能である。
ここまで英語について長々語ってきたが、英語を聞く・読むという事がこの旅行の全てではない。英語が分からなかったとしてもNYの街並み・雰囲気を感じる事は普段、日本に住む我々にとって有意義な経験になる事は間違いない。NYに行けば、NYでは常に何かの臭い・匂いがする、という私の感想にも共感できるだろう。NYはアメリカの全てではない、と領事館の人も言っていたが、少なくともNYはどんな街なのか、という事が5泊あると何となく感じ取れると思う。執筆時点でNYを去って4日が経つが、未だにNYの地下鉄のあの臭いがこびりついている。
もう一つ、伝えておきたいのがエコノミクス甲子園についてだ。当然ながら空き時間・待ち時間も多くあるこの研修。その時間に引率の大人3人から大会の裏話を色々聞いた。特にこれは全国大会参加者全員がわかって欲しい、と思わされたのはエコノミクス甲子園が17回も続いている「2つの要因」だ。1つは大学生ボランティアの存在、もう1つは「オリセン」だという。オリセンはオリンピックセンターの略で言わずと知れたエコ甲全国大会の舞台である。立地に対して1泊あたりの料金がかなり安いようだ。決して資金が潤沢にあるわけではない中で工夫して運営するための策らしい。一参加者として参加していた全国大会の時はここは監獄かと思っていたが、運営側の視点になった時になんて我が儘な事を考えていたんだろうかと過去の自分が愚かに思えた。もし全国大会への参加を控えた高校生がこの文章を読んでくれているのだとしたら、運営サイドは出来る事を頑張っている、という事をぜひ理解してほしい。
とまぁ、他の人は中々書かないだろう事を主として私の感想文とする。次にNYへ行く高校生へアドバイスをもう1つだけするとすれば、帰りの飛行機が遅れて5泊7日の予定が羽田で一泊して6泊8日になってしまったので衣類はちょっと余裕を持って持っていく事をお勧めする。
参加者の声
第 16 回大会優勝 栄東高等学校 稲葉 琉晟
こんにちは。「第16回全国高校生金融経済クイズ選手権 エコノミクス甲子園」で優勝いたしました、栄東高校の稲葉琉晟です。この度、優勝賞品のニューヨーク研修旅行に行ってきましたので、その感想文を執筆させていただきます。
本来、私の学校では高校2年生の就学旅行でアメリカへ行くことになっているのですが、新型コロナウイルスの影響により国内への旅行に変更になってしまったので、このような機会でアメリカへ行くことができ本当に嬉しく思い、行けなかった学校の友人達の分まで楽しんで来ようという思いも持って行かせていただきました。学校の友人達にその話をした際には、必ずお土産を買ってくるように言いつけられました。
また、共に大会に出場し優勝した部活の先輩である佐々木遼先輩が、受験関係の予定で都合が合わず、一緒に研修旅行に行けなかったのが非常に残念であり、慣れない土地への知人がいない旅行には不安もありました。しかし、同行したスタッフの方々や札幌開成の2人とはすぐに打ち解けることができ、 結果として終始楽しい旅行となりました。
私が研修旅行を通して印象に残ったことを3つ書き記そうと思います。
1つ目はボストンの街並みです。研修旅行のメインはニューヨークでしたが、4月4日はジョン・ハンコック・インベストメント・マネジメントさんに企業訪問をしに、飛行機でボストンへ行きました。市民がのんびりとくつろげる広い公園、荘厳な建築様式の図書館、歴史ある教会、オシャレな住宅街など、日本にはあまり見られない、とても魅力的な街並みが広がっていました。まだ2都市しか訪れていませんが、アメリカに住むならボストンがいいなと思いました。
2つ目はアメリカと日本の違いです。勿論何かしらのカルチャーショックがあることだろうと予想はしていましたが、アメリカ人が意外と静かだったり、赤信号でも横断歩道を渡る人がとても多かったり、電車で歌っている人たちがいたり、等々。知らなかった、予想していなかった日本との違いを生で沢山見ることができました。中でも一番驚いたのが、地下鉄駅でのことです。電車が駅に停車している時、雑音や話し声でよく聞こえませんでしたが、何やら英語のアナウンスが流れ始め、すると乗客たちが異様にざわつき出し、次々に電車から降り始めました。事情の分からぬまま私達もそれに続いて降り、全員が降りたところで、電車は行ってしまいました。余程のことがない限り、日本では予告なしに電車の乗客を一斉降車させるなんてありえないと思いますが、アメリカではそのようなことも日常茶飯事なのだなと驚かされました。
3つ目はアメリカの企業のオフィスです。企業訪問をさせていただいたBloombergさんの本社には、食べ物・飲み物を自由にとり、テーブル席について社員同士でいつでも会話できるパントリーがあり、社員たちが気兼ねなく意見を交換できるスペースが用意されていました。また、食べ物(Food)・花(Flower)・魚(Fish)の3Fを色々なところに設置することで、リラックスして働けるオフィスにしているそうです。先程出てきたジョン・ハンコックさんのオフィスにも、卓球台やビリヤード台などが設置されているスペースがあり、社員たちが好きに気分転換できるようになっていました。このように、アメリカのオフィスには、「職場」ということに囚われず、社員たちが自由を感じられる空間を演出することで、仕事をより活発化させる工夫が多く見られました。このような自由性が、世界経済のトップを行く所以なのだろうなと思いました。
今回の研修旅行を通して、初めて外国との文化の違いを肌で感じ、また様々な企業を訪れることで、経済界の第一線で働く人たちの考え方を深く知ることができました。英会話の良い経験にもなり、とても充実した一週間を送ることができました。企画・引率してくださったスタッフの皆様、訪問を受け入れてくださった企業の皆様、同行してくれた札幌開成のお二方に、心から感謝しています。本当にありがとうございました。
参加者の声
第15回全国大会優勝:千葉県立千葉高等学校筧友輝くん
ニューヨーク・ボストン研修旅行での収穫を2つ書き記したいと思います。
まず一つ目が英語でのコミュニケーション能力の重要性を痛切に知ることができたことです。訪問した企業の方にお話をうかがったときにも、情報を断片的にしか聞き取れないという場面が多々ありました。折角私たちのために時間を割いていただいているのに申し訳ない、貴重な話をすべて咀嚼することができず、もったいないという思いが自分の中で湧き起こりました。買い物や入国審査などの場面においても英語で苦労した記憶がはっきりと残っています。在ニューヨーク日本総領事館の日本人職員の方が「本当の『グローバル化』にそなえよう」「大学生のときにきちんと英語を勉強しておけばよかった」とおっしゃっていたことも印象に残っています。比較的時間に余裕のある大学生である私は、国境を越えた経済活動がさらに活発になる時代のため、英語を扱う能力を鍛えなければならないと学びました。
そして二つ目が世界経済を現実のものとして感じることができたことです。今回経済の現場をこの目で見て、さまざまな人々と直に接することができました。そして世界経済は画面の中だけの事象というわけではなく、現実世界で血の通った人が動かしている事柄であるという当たり前の事実を実感しました。また、トヨタやホンダなどの日本のブランドを多く目にしたり、円安によりミネラルウォーターを買うにも苦しんだりしたこともありました。それによってアメリカにとどまらない世界という舞台が私の住む日本と地続きの現実であり、私自身と関連を持っているということを、身をもって感じました。研修旅行を通して、どこか違う次元のような感覚のあった世界が実際のものとして目の前にくっきりと浮かびあがってきたのです。
この研修旅行では企業訪問のほか、美術館見学やミュージカル鑑賞などのアクティビティも含め、さまざまな貴重な体験をすることができました。初めての海外ということもあり研修旅行には不安も大きかったですが、最後には大いに満足するとともにエコノミクス甲子園で優勝して良かったと心の底から思いました。エコノミクス甲子園やニューヨーク・ボストン研修旅行に携わったすべての方々に感謝申し上げます。
参加者の声
第15回全国大会優勝:千葉県立千葉高等学校蜂巣直暉くん
〇はじめに
「NYへ行きたいか!?」
往年のクイズ番組の有名な掛け声です。今回、僕たちは某番組のようにエコ甲というクイズ大会を勝ち抜き、NY行の切符を手にすることとなりました。初めての海外旅行ということもあり、様々な不安を抱きながらNYへ向かいましたが、研修旅行が終わった今は素直に「行っておいてよかった」という気持ちです。以下、僕がNYに滞在して思ったこと・考えたことについていくつかまとめてみたいと思います。
〇より良い働き方とは
様々な企業を訪問させていただく中で、オフィスが面白かったところが特に印象に残っています。2日目に訪問したJohn Hancockのオフィスは緑がいっぱい。至る所が植物で彩られており、オフィスというよりもはや植物園といった感じでした。4日目に訪問したBloombergのオフィスは全体的におしゃれな印象。さらに、熱帯魚のいる水槽や花などが配置されており、リラックスできる空間となっていました。その他にも、カフェテリアが充実していたり、働いている人の服装がカジュアルだったり、少し遊べるスペースがあったり…何より、働いている人の雰囲気がどこか明るい感じだったのが印象的でした。このような働き方に慣れていない僕からしたら、かえって仕事の効率が落ちてしまうのではないかと少し疑問に思ったのですが、現地の人は「休む時は休み、働くときは働く」というようにしっかりメリハリを持ってやっているのだそうです。実際にBloombergでお聞きした話では、会社員は比較的早い時間に退社するのだとか。長時間労働やら過労死やらが取り沙汰される日本でも、こういう働き方が普及したらいいのに…と思いました。
もう1つだけ話題を挙げるとしたら、最近よく聞く“Diversity”(多様性)についてでしょう。日本で「人種」を意識する機会はあまり多くないですが、今回訪問した企業はどこも様々な人種の方がいらっしゃるのが一目でわかりました。加えて、性的マイノリティへの配慮についても聞かれました。“Diversity”への配慮が欠けているといわれる日本にとって、“Diversity”が著しいアメリカ(特にNY)の働き方は非常に良いモデルになるのではないかと感じました。
これらのことを教科書等で読んだ知識としてではなく、実際に肌で感じた経験から考えることができたのは本当に貴重な経験だったと思います。
〇アメリカから見た日本
物事を客観的に見ることは大事だとよく言われますが、このNY研修旅行では自分の住んでいる「日本」という国を少しでも客観的に見ることができたのではないかと感じています。
まずは経済的な面について。3日目に訪問した総領事館経済部、5日目に訪問したRussel Investment、NY証券取引所で強く感じたことです。当然のことながら、アメリカの企業や投資家にとって、日本は「投資対象」であり、1つの「外国市場」です。実際にお話を聞いていく中で、自分が今まで日本をそのように「対象化」して捉えてこなかったことに気づきました。国内の経済状況も大事ですが、海外から見た日本の価値についても注目していかなければならないと感じました。衝撃的だったのは、故・安倍元総理の「アベノミクス」と岸田現総理の「新しい資本主義」に対する現地の方々の反応の違いです。前者についてはそれなりに評価されていましたが、後者の評価は散々でした(認知すらされていないことも)。政策における国外に対するメッセージの強さについて考えさせられました。
次に、文化的な面について。日本の常識はここではほとんど通用しません。街を歩けば、様々な人種の方とすれ違います。聞こえてくるのは基本英語です。飲み物が欲しくても自動販売機はそうそう見つかりません。コンビニもなかなか見当たりません。物価は非常に高いです。円安を抜きにしても高い。家庭ごみは朝ではなく夜に回収されます。コロナ禍ですが、もうみんなマスクを外しています。密集も気にしません。―これらのことは実際にNYに訪れたからこそ実感できたものです。そして、NYと日本との差異を通じて、自分の住んでいる日本という国の特徴をより深く知ることができたと思っています。これだけでもNY研修旅行に来た価値はあると感じました。
〇英語力は大事
英語力があまりにも低かったのが今回の研修旅行における最大の反省です。今回、ほとんどすべての訪問先で英語の解説を聞くことになりましたが、その大半が理解できなかったのはかなり悔しかったです。また、英語ができないと税関で永遠に止められます(地獄です)。ありきたりな教訓ですが、学校での英語の勉強は非常に大事です。その一方で、日常的に使う英語と学校で学ぶ英語の間にはやはりどこか違いがあるようにも感じました。積極的にネイティブの方と話す機会があるといいのかもしれません。僕の今後の英語学習の大きな課題を見つけることができて良かったです。
〇おわりに
企業訪問をはじめ、様々な博物館・美術館を見学したり、ブロードウェイのミュージカルを見たりと、ここでしかできない貴重な経験をたくさんさせていただきました。様々なイレギュラーに見舞われながらも、こうしてNY研修旅行を無事に終えることができ、感謝の気持ちでいっぱいです。コロナ禍でありながら、オンラインでの第15回大会を企画・運営してくださったスタッフの方々、今回のNY研修旅行を企画してくださった鈴木さん・水谷さん、引率してくださった濱元さん、尾崎さん、城さん、同行した第14回大阪代表の皆さん、相方の筧、そして、訪問を受け入れてくださった企業の方々に改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。次にエコノミクス甲子園を制し、このNY研修旅行に招待されるチームはどこなのか、楽しみにしています。
参加者の声
第14回全国大会優勝:大阪府立北野高等学校福岡哉太くん
アメリカは日本と近い関係にありながら、日本と正反対の空気が流れている。初めてニューヨークに滞在し、そう感じました。店員さんの態度、物価、交通マナー、道行く人のフレンドリーさ…。しかしこれらは個人旅行でも気づく違いですよね。エコノミクス甲子園のNY研修のいいところは、普段見ることのないアメリカ社会のビジネスで、日米の違いを感じられることです。
在NY総領事の方には、日米がそれぞれ安定・競争の両極端であり、現在アメリカは政治的分断が非常に深刻な社会問題であると、現地での肌感をもとに教えていだだきました。アメリカの光の部分ばかり見るのではなく、影の側面も参考にする必要があると感じました。
複数の企業も訪問させていただきました。どの企業もオフィスに自由空間を設けて異なる部署間での対話を促し、画期的なアイデアを生み出す工夫がされていました。また特にNYでしたので、diversityへの配慮は顕著でした。企業が主体的に取り組んでいる様子は、日本が最も参考にすべき点でしょう。しかし他方で、アメリカがここまでdiversityにこだわる背景には、根強い格差や差別の裏返しであるとも考えました。
NY証券取引所の中へ入ったことは、一生忘れられない思い出になりました。世界金融の中心にふさわしい活況で、ここで働く人々からは、世界の経済を支えるプライドを感じ取ることができました。ちなみに訪問した次週に岸田首相が証券取引所へ来られるようなので、首相の先を越したことになる!…と思います。
最後に、私の心残りとして英語力を挙げておきます。ビジネスの世界で使う英語は、ゴマカシが効かないです。翻訳技術が今後進歩すると思いますが、対話の呼吸を重視する外国人相手には、直に話せるに越したことはないでしょう。ただ街中にでれば、大抵はOKとThank you! で何とかなるので、気負う必要ありません!私も、とあるミュージアムで遭遇したインド人とこの2つですぐに意気投合しました!
エコ甲に参加した高校生たち!私たちに続いて、NYを目指しましょう!!
参加者の声
第14回全国大会優勝:大阪府立北野高等学校原 崇史くん
私は今回のニューヨーク研修に参加させていただいた。私自身の知識的・語学力的問題により全てを理解することはできなかったが、それでも多くを学ぶことができ、今後の大学での学習にも影響があると思う。
ニューヨークに到着してすぐに、タクシーで移動した。運転手が強引な割り込みを行なったり、道無き道で急加速したりといきなり日本との大きな文化的違いを感じた。
2日目以降、多くの企業・機関を訪問させていただいた。どの企業でも、社員の方から自分の仕事・職場についてのお話を伺うことができた。分業が進んでおり、お話を伺ったどの社員の方も自分が担当している領域についての専門的な知識を持っていたことが特に印象に残っている。また、明るく開放感のある職場が多く、社員同士のコミュニケーションを図る工夫がなされていたり、観葉植物や熱帯魚、フルーツ等が至る所にあったりと、生産性を高める工夫が随所に凝らされていた。日本国総領事館では、業務以外にも日本とアメリカの企業や個人の姿勢の違いについても聞くことができた。さらに、アメリカにとって、日本はアジアのパートナーとして依然重要であると伺った。国内では悲観的な論調の人も見かけるが、証券取引所ではトヨタやソニーの株価が流れており、市街地を走行する自動車も日本車が支配的だった。まだまだ日本には力が残っていると感じた。
企業・機関訪問に加えて、アクティビティとして種々の美術館・博物館も見学した。世界中から展示物が集められていた。どの国・地域からも誰もが見聞きしたことのある展示物が集められており、高校までで学習したことのおさらいができて楽しかった。
ニューヨーク研修に参加するだけですぐに何かが変わる訳ではないと思いますが、必ず何かしらの影響を受けることになると思います。優勝を目指して頑張ってください。
参加者の声
第13回全国大会優勝:藤島高校(福井)鷲田樹音くん
あの煙の立ち込めるニューヨークから帰ってきて3週間が経つ。田園に囲まれた福井の風景がそこにはある。彼我の地理的な距離よりも、精神的な距離の方が強く感じられるのはなぜだろう。
優勝と共に決定したニューヨークへの旅路は、自分にとって初めての海外ということを意味していた。この時の心情を愚直にも述べるならば、ニューヨーク研修旅行のことなど頭の片隅にもなかったというのが適切だろう。優勝するつもりで長い間勉強していたにも関わらず、この事が抜け落ちていたのは今でも全く不思議に思える。だからこの旅行は本当に意図せざるものであった。
ニューヨークへ行くにあたって最も気掛かりであったのは自分の語学力である。何せ頭には経済の知識しか詰まっておらず、今から突然英語を使う頭に切り替えるなど到底出来そうにもないと思った。だがこの機会をものにしてやろうという気概から、ひたすら英語の勉強に精を出した。
自分は偏屈な人間なので、海外に行けば何かいい経験ができるといった妄信的な言葉はどうも信用できなかった。しかしこの旅行について言えば、のちにその認識を改めることになった。
ここに私の稚拙な言葉でニューヨークでの出来事を仔細に書き連ねることは避けようと思う。なぜならこの経験を文章にしても陳腐なものにしかならないからだ。知識として知っていることと、経験として知っていることは違う。まさに「百聞不如一見」である。
帰国後の授業で私の敬する教師がこのような要旨のことを述べていた。広く経験し学びなさい、と。師は旅行が好きで、両手の指に収まらないほどに海外旅行に行ったそうだ。とても聡明な方で、家には何千冊もの本があるほどの読書家でもある。だから師の言葉は有り体でありながら、私には実感を伴ったものとして受け入れられた。以前の私なら経験せずとも本から学べば良いのではと懐疑的になりつつ、師に質問することにやぶさかでないだろう。
ニューヨークは異文化であった。
異文化に触れることによって自文化を知る事が出来るという言を聞いた事があるが、その意味でニューヨークは鏡だ。日本の文化が相対化されて浮かびあがるとともに、やはりニューヨークの人々の在り方の根本が日本とは異なるということを強く感じさせられた。
始めに述べた、精神的な距離とはそういうことである。
私たちは地図を見れば日本とニューヨークがどれほど離れているかを一目で知ることができる。飛行機に乗れば13時間ほどで行くことが出来る。地理的にニューヨークへ行くことは容易だ。しかし精神的に近づくことは容易ではない。
「異質のものに対する理解と寛容」。私が好きな言葉だ。この言葉はグローバル化する社会の中で私たちに要請されている異文化理解の姿勢を極めて端的に表しているように思う。交通網が発達し、世界の一体化が進む中で、時間距離の縮小は著しい。私たちにとって地球の裏側はもはや手の届く場所だ。しかしだからこそ、私たちは国際人としてこの「理解と寛容」の精神を持たなければならないのではないだろうか。
私には他県から福井に引っ越してきた、所謂転勤族の友人が2人かいる。ただ彼らは共に「田舎は閉鎖的だ、よそ者は排除される。都会の方がいろんな人がいるしその分寛容だ」と言うのである。これが一般に当てはまる事象だとは私も思わないが、その土地の多様性と人々の「理解と寛容」の精神の繋がりは無視はできないと感じさせるエピソードであった。
「異質のもの」に寛容であると言いうのは人間にとってなかなかに難しいのである。同質な集団の中に「異質のもの」が入ってきたときに攻撃するのは人の摂理なのかもしれない。
理解においてはそれ以上に難しいだろう。
このエピソードはミクロの例であるが、マクロで見れば正にこれが今のグローバル化社会だろう。その中で日本が田舎になるのか都会になるのか。それは私たちにかかっている。
私たちはイスラームのことをどれくらい知っているだろうか。LGBTのことをどれくらい知っているだろうか。理解しているだろうか。寛容は易しい。しかし私たちは理解する事で初めて精神的な距離を縮めることができると思うのだ。理解には努力が必要だ。不学ではいけない。学び、世界を知らなければならない。
「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである」。アインシュタインの言葉だったと記憶しているが、この言葉が象徴するように、私たちはこの常識という名の偏見でものを見る。私たちは常識でよそ者を排除しないだろうか。
私は自分の知の有限性を理解した上で、なるべく多くの価値観を身に付けたい。「異質なもの」を理解できるようになりたい。そのために学びたい。そしてきっと自分の中の福井の田園とニューヨークの街がもっと近づくだろうと信じている。
今回の訪問で多くの企業や場所に行き、沢山の人からお話を伺った。面白いのは、各々言っていることは千差万別で、時には正反対のことを言う人までいるのだ。考えてみれば当たり前のことかもしれないが、ニューヨークの街でそれを聞いた衝撃は大きかった。価値観の多様性を肌で感じた。恥ずかしい限りだが、福井の田舎の高校という限られた社会にいるとそんな当たり前のことすら感じて来られなかったのだ。今私にに見えているのは縦並びの階級社会だ。偏差値という数字だ。それが限られた狭い価値観ということを理解していても、ニューヨークでの経験がそれを上書きしてくれたことは自分にとって大きかった。
ニューヨークに来る前から問いがあった。実社会と学問についてだ。
私の夢は知識人になることだ。なんとも漠然としていて馬鹿げているかも知れないが、そんな夢を持つ私は常々資本主義のパーツになって生きる人生は楽しいのかと疑問を持っている。そんな訳で、このような問いを訪問先で投げかけてみた。
「社会に出て大学の学問は生きましたか」
回答は様々であったが、共通していたのは直接に役に立つ訳ではないということだ。理論と実学が乖離しているというのは、経済学に限って言えば、よく分かる話なので納得はできた。けれどその分、自分は社会に出てもどうしようもないなとも思うのであった。
また訪問先での対話の中で自分にとって大きな発見もあった。英語の能力についてだ。私は英語にあまり自信がないので、このニューヨークへの渡航に向けて英語のスピーキングに励んだのだが、ある訪問先の方がこのようなお話をしてくれた。
「自分は英語が苦手で、海外の人に英語で説明をするのが億劫だったが、話さなくても英語の資料を作成したりするなど、話す以外の手段を使って対処するようにした」
と言うのである。自分は正直驚いた。英語が上手に話せなくても、海外の人と仕事が出来るように工夫して乗り越えてきたというこのエピソードは自分にとって福音でもあった。英語に自信がない私であるが、それでも自分の思っていることを伝えようとする熱意だけはあるつもりだ。自分の考えを伝えるというコミュニケーションの意味を再認識させてくれた。
最後に自分にとってのエコノミクス甲子園というものを振り返りたいと思う。私は高校一年生の時にこの大会に参加することになった。きっかけは今の相方に誘われたのと、私のある友人の存在であった(この友人については第12回の時の感想に記してある)。自分にとって一意に何か勉強に取り組むというのはとても楽しいものだったので、そのおかげか初参加で県大会優勝を果たしてしまった。
ある意味でこの優勝は失敗だったと後悔したことも多々あった。相方と勉強の分担が上手くできず、衝突したからである。だから私は第12回の全国大会で8位の結果に終わった時、当然の結果だなと冷めた目で見ていた。第13回に向けて、私は優勝しか考えていなかった。第12回の反省から、相方には頼らず自分一人の力で頑張ろうと意気込んだ。ミクロ経済、マクロ経済、財政、金融、マーケティング、会計、企業論、時事など何でも勉強した。しかし第13回の全国進出が決まると、再び相方との衝突は訪れた。私には相方の熱意がどうも伝わって来なかった。それが怖かったのである。しかしこの衝突を通して人間的な成長があったと私は思っているのだ。
一つの大きな目標に向かってチームプレイをするのは難しいことだ。部活で部長をしている私はそれをよく知っていた。だから腹を割って話してそれを乗り越えた経験は何物にも代え難い。
私は人生のテーマとして、自分の人間的成長を掲げている。だから学問をして知を広げたいし、色々な出来事を通して自分をよりよくしようと思っている。その点、エコノミクス甲子園は私の人間的成長を大きく助けてくれたと感じている。感謝の意しかない。
ただ全国大会後の作文でも書いたように、今でもこの優勝はちっぽけなものだと思っている。優勝せずともこの人間的成長は変わらなかったし、優勝しても人間的成長が無かったらエコノミクス甲子園に対する感謝の意もこれほどでは無かっただろう。
この文章を読んでくれるかも知れない、来年の出場者に伝えたいのは、自分の活動の意味はしっかり自分で見出せということだ。学校の勉強然り、部活然り、エコノミクス甲子園然りだ。入試の結果や大会の成績しか残らないのでは余りにも空虚だと思うのだ。もちろん結果は大事だ。そんなのは当たり前だ。ただ、自分にとっての意味は持っていて欲しいと思う。それって何だろう、とそうやって考えることが大事なのだ。社会のレールに乗ればいいのだろうか、言われたことが正しいと盲目的に信じて突き進むはめばいいのか。ちゃんと考えて欲しい。もし社会のレールに乗っていい大学に入りたいだけなら、経済の勉強なんかせずに受験勉強をたくさんすればいいのだから。皮肉に聞こえるかも知れないが、功利的に考えればそういうことだろうと思っている。だからこの大会に出る全ての人は自分なりの意味を持って参加して欲しい。私からの切なる願いだ。
第13回エコノミクス甲子園の企画・運営に携わった全ての人に感謝を申し上げて、この文章を締めることとする。
参加者の声
第13回全国大会優勝:藤島高校(福井)坪田実那美さん
エコ甲優勝を狙っていたことは、自分にとってはこのニューヨーク研修を狙っていたということでもありました。将来が全く見えず、また色々な悩みを抱えていた中で、NYに行けば何かわかるのではないかという漠然とした予感が胸の中にあり、そしてある意味この研修に残りの高校生活ないし自分の人生を賭けようとしていました。そして無事に優勝を得て、このような貴重な機会を頂き、その予感は間違っていなかったと実感しています。自分の常識や世界観、自分のキャパを優に越えていくほどの何か壮大なものを得ることができました。
企業訪問では、CITI、総領事館経済部、Tiger Pacific Capital、ロイター、大和投資信託、Bloomberg、Russell Investment、John Hancock、Galileo Global Advisors に伺い、世界の金融経済の中心としてのNYを体感しました。また、メトロポリタン美術館、タイムズスクエア、MoMA、ブロードウェイミュージカルの鑑賞など、観光地としてのNYを味わうことが出来ました。一週間弱という短い時間の中ではありますがNYに滞在して何を学び、そして何を考えたのかを綴ろうと思います。
そもそも高1ではじめてエコノミクス甲子園に申し込んだのも、両親が自営業を営んでおり漠然と経済に興味があったというだけでなく、何でもいいから学校以外の勉強をしたかったからでした。淡々とした日々の生活に少し満足していながらも、悪く言えばその惰性で過ごしている生活に何か疑問を持ってもいて、そして集団の圧に揉まれていたからか自分が勉強している意味も分からず、目先の目標である受験だけを見てある意味盲目的に勉強していました。そこからの逃げ道を探していたのかもしれません。そしてリベンジで挑んだエコノミクス甲子園で優勝を頂けました。好機が来ました。今まで向き合ってこなかった自分が勉強する意味の答え、そしてそれよりも大きな、何か自分を変えてくれるものをNYからたくさん持って帰ってくると心に決めました。
その答えはNYではっきりとわかりました。恐らくNYでしかわからない問題でした。自分が勉強するのは、非常に端的に言えば、自分をひとりの人間として成長させるため、そしてそれを世のため人のために還元するためでした。どのように成長させるのか。一を聞いて十を知る能力をつけ、人としてのバックグラウンドを磨くのです。今回金融に携わる方々を訪れて、一を聞いて十を知る能力に長けていない方は一人もいらっしゃいませんでした。人間としての差がつくのは、同じ量の情報からどれだけ多くのこと、新しいこと、濃密なことを見出せるか、すなわち一を聞いて十を知ることができるかです。そしてそのプロセスを今の時期から体験し自分を高められる最も身近な手段が勉強でした。そのプロセスを磨くだけではなく、勉強を通して人として持つ知識のバックグラウンドを磨くこともできます。人間は人とのつながりの中でしか生きていけません。また、同じバックグラウンドを持つ人は一人もいません。そして理解は知識ありきです。だから、いろいろな人と会話を交わしたり人との関わりの中で自分のやりたいことをやったりするにはあらゆる分野に対しての知識が必要です。いろいろな内容を勉強することは、知識や思考の内容からみた他人と自分のギャップを埋めていくことでもあります。その人は今話をしている大人でもいいし、教科書に載っている有名な公式や定理を導いた偉人でもいいでしょう。勉強は他人が持っていて自分が持っていない考え方やスキルを奪える手段です。また、それが受け入れられなくても、こういうものがあるのかとまず理解する、知的なたくましさを身につけることもできます。また、学問は常識の延長上である部分があるので、それを何回も考え経験することで思考体力もつき、人間としての素養が高まると思いました。
ほかにも私はNYにたくさんの疑問や悩みを持っていきました。例えば、働くことの意味とは何か。今回、現役でバリバリしかもNYという地で働いていらっしゃるたくさんの方々とお会いし、話をしました。労働についての価値観は日本とNYでは相当違うものでした。形式ではなく実質を追い求めたNYの柔軟そうな働き方を見てはじめて、働くことの意義を身にしみて感じました。働くとは自分のやりたいことをやり、それが結果的に社会に還元され、またあくまで対価としての給与が入ってくること、すなわちやりたいことをやっていることに過ぎないのです。それを根底から支えるのは、人間はそもそも食べなければ生きてはいけず、かつ常に向上心がある生き物であるという前提でした。ごくごく当たり前のことかもしれませんが、これらを知れたことは自分にとっては大きな収穫でした。
NYで一週間弱滞在して、価値観や文化について多くを考えさせられました。正直NYという場所を神格化していました。中学生の頃から、初めての海外旅行はどこに行ってみたいかと問われると毎回ニューヨークと答えていました。すべてがキラキラしていて、日本よりすごいものがたくさんあるんだろうな、と思っていました。それはあながち間違ってはいません。観光地としての賑わいは世界有数です。一方で地下鉄の治安の悪さやホームレスの方々の物乞いなどの生々しさを目の当たりにしました。NYは世界中の人にとってはキラキラしたユートピアなのかもしれませんが、そこはあくまで一つの都市なのです。人々の生活が根を下ろしているだけです。それは世界中どこに行っても変わりません。(決してNYが大したことないと言っているわけではないです)だから日本とアメリカ含め、文化の優劣を決めるのは愚かなことだと思いました。しかし日本が経済成長するにはアメリカと競い合わなければならず、それには日本がアメリカの文化に多少迎合する必要があります。でもその力関係が発生してる時点でアメリカが優、日本が劣であることを意味しているのではとも思ってしまいました。文化の優劣、文化相対主義に関してはNYですっきりとは解決しませんでした。これから勉強していく上でじっくり考えたいとは思いますが、それほど難しいことなのでしょう。
これらのことを踏まえて、将来の展望としては、役立つ役立たないに関わらず、すべてのことは自然と自分をつくるのに役立っていると信じて、文理の概念を気にせずあらゆる分野に寛容になりながら勉強をし、大学に入ってもその先も自分の今やりたいことは何かを大切にして自分の選択肢を狭めず広げ続け、多くのことを学び自分を人間的に成長させたいです。また、女性の働き方が柔軟であるというお話も聞いたので海外で働くこと、海外でビジネスなどを学ぶことも視野に入れたいです。
帰国前日の夜、髪をドライヤーで乾かしていると、不意に涙が出てきました。エコ甲まであるいは今まであった色々なことを思い出したのか、それともそれらを簡単に揉み消してしまうほどの得たものの大きさへの恐怖や得た出会いの喜びからか、それとも単純にNYを離れるのが寂しいのか。NYは本当に多くのことを教えてくれました。自分の常識が痛快なまでに覆されました。ここでしかない出会いがあり、ここでしか得られないものがありました。“メンターとアンカー”、つまりこの人のためなら自分は努力をし続けられるという概念をやっと身を以て感じられました。NYで話をしてくださった企業の方々をはじめ、一週間の滞在を思い出すと、身が引き締まり、頑張ろうという気持ちになれます。企業訪問で出会った方々のみならず、研修旅行に同行して下さった方々もそれぞれ異なるバックグラウンドを持ち自分の道を自分で切り開いているという点でこれからも尊敬し続けたいです。でもそのような新しい人や場所との出会いがたくさんあったからこそ、別れるのはとても寂しかったです。ここまで自分がNYで考えたことを偉そうに書いてきましたが、やはりNYを思い出すと、結局「ただただ楽しかった」の一言に尽きるのです。エコ甲の研修として行かせてもらったのに、結局楽しかった思い出で済ますのでは少し申し訳なく思えてきますが、楽しくて楽しくて仕方なかったのだからしょうがないです。でもこれほどの水準の楽しさには今まで出会ったことがありませんでした。たくさんの会社のオフィスに伺ってNYのビジネスマンの働く姿を見て感動。タイムズスクエアの五感すべてからの迫力。ブロードウェイミュージカルからもまた迫力。美味しすぎたボストンのクラムチャウダー。Tigerの方々にステーキをご馳走していただき色々なことを伺ってそして聞いて頂いたあの夜。そしてホテルの部屋のリビングに集まって御一行の皆さんとご飯を食べたりたくさん語り合ったりしたこと。これ以外にも数え切れませんが、それらはカメラロールに閉まっておくとして、滞在の一瞬一瞬、大きなことでも小さなことでも、つねに新しい情報が入り続け、ワクワクした気持ちが消えることはありませんでした。前にNYは一つの都市に過ぎないとは書きましたが、それでもやはりその地の織りなすパワーは計り知れず、日本とは全く違い自分にとっては全く新しいのだから、やっぱり楽しいのです。どうかまた来られますように。
最後に。いちばん大切なのは人とのつながりであり、それを作ってくれたのは紛れもなくエコ甲でした。NYへ来られたのも、高1の冬、地方大会の締め切り三日前、教室の隅で偶然見つけた一枚のチラシがすべての始まりでした。エコ甲は自分の高校生活を良い意味で狂わせてくれました。今度は自分が恩返しをする番です。まずは、NYで得たものを裏切らないこと。そして、エコノミクス甲子園に少しでも携わるすべての方々に多大なる感謝を込めて、研修の感想とします。本当にありがとうございました。
参加者の声
第12回全国大会優勝:長崎西高校(長崎)深松恵杜くん
4月1日 長崎空港を早朝出発し、20分遅れで羽田空港に到着。
そこから国際線ターミナルへ行き、ニューヨークへと飛び立った。13時間越えのフライトでかなり疲労もあったが無事にニューヨークに到着した。一度ホテルに行き、そこからアメリカ自然史博物館へ。恐竜の化石や古代の生物の剥製などがあった。日本コーナーもありとても驚いた。
一番印象深かったのは、アメジストが析出している岩石が天井近くまであり、これほど大きいものは今まで一度も見たことがなかったので感動した。その後タイムズスクエアへ。たくさんの電光掲示板があり、ここが世界の中心といっても過言ではないくらい派手で凄く圧倒された。ホテルへと戻り次の日のボストンに向けて早めに就寝した。
2日目、起きてみると外は真っ白。まさかの雪。4月なのに。
鈴木さんのもとに飛行機の変更についてのメールが届くなど朝から少しパニックになっていた。空港に何度も電話し、やっと繋がり、別の便の目度が立ち、とりあえずラガーディア空港へ。雪が積もっている高速道路を進み空港に到着すると振り換えた飛行機もキャンセルに。鈴木さんがカウンターで話をすると次の便は1時だったがその便も3時に順延し、あえなく断念。ホテルに戻り、午後からニューヨーク市内散策へ。自由の女神に行こうとしたが、600m程の行列ができており諦めた。その後9.11メモリアルパークなどに行った。雪の積もったニューヨークというめったにない景色を経験できたのは大変よかった。
3日目、朝からRussel Investmentsへ。ここはマルチマネージャーという企業を業績などでランク付けしていく会社である。今回私が英語で苦戦したのが2か所ありそのうちの1つがここであった。専門用語のオンパレードで半分以上聞き取れず頂いた資料を見てやっと理解できた。その後、ニューヨーク市立図書館へ、図書館とは思えない見た目で蔵書数も多くお土産コーナーもあり、観光地みたいだった。
次にcitiへ。ここではWangさんの引率のもと主に日本の株を扱う川村さんから話をお聞きした。今、世界の目が日本に向かなくなってきているとおっしゃっていた。アベノミクス後株価が動き、注目されていたが、安定してきた今はそうではないということだった。またリサーチ部という企業の製品や業績などを細かく調べ、その上で今後どうなるかを予測し、投資家に提示する仕事を詳しく知ることができた。
次にBloombergへ。ここのオフィスには度肝を抜かれた。まず形が円錐の下の方で中心部分がえぐりとられたような形をしていて、中は壁があまりなく広々としていた。そして何より驚いたのは休憩スペースがとても広く何か所もあって充実していた。飲食物も多くあり、ここなら様々な部門の人が自由に話ができ、より柔軟なアイデアが生まれそうと思った。日本でもこのようなオフィスが増えるとよいと思った。ここでも半分ほどしか英語が聞き取れず、自分の英語不足を改めて感じた。
夕方からタイガーマネジメントの武神さん、金さんのもとへ。オフィスが高層階にあったが、生憎の天気で何も見えず残念だった。ここでも日本経済についての話をした後、最後に今、日本で流行っているものを問われ、咄嗟に出てこなかった。おそらく外国人に同じことを聞かれても同様の反応だっただろう。こんな時に備えておくことがこれから日本をアピールしていく上で大切だと思う。また金さんからは将来目指している薬学の話もお聞きできたのでよかった。その後お二方と一緒にステーキをご馳走になった。見たことないほど分厚いステーキはとてもおいしかった。その間にも様々なジャンルの話をし、同じ話題でもこういった違う見方もできるのかとまた勉強になった。
4日目、急遽午前がオフになり、メトロポリタン美術館へ。1時間という短い時間だったがテレビでよく見るゴッホの自画像やモネの水蓮など見ることができ、満足のできるものであった。
午後から日本領事館へ。藤山さん、久米さん、田中さんから様々な話をしていただいた。その中でも特に印象に残ったのはチップについてとトランプ大統領についてだった。チップは、数十年前は通常8%であったが今では20%近く支払わなければならないということでチップも値上がりをするのかととても驚いた。トランプ大統領はツイッターでのツイートが日本でもかなりの頻度でニュースになるが投資家達は今まで政策をあまり実現できていないことから意外と冷静に聞きだいぶ温度差があると思った。
その後大和投信へ、塩田さんからリサーチ部について教えていただいた。また近年大手の金融関係の会社はウォール街からミッドタウンの方へと拠点を移していると聞き時代の波を感じた。また大和投信はラテンアメリカ株も取り扱っていて、やはり振動が激しいそうできちんと見極めていく必要があるとおっしゃっていた。
その日の夜、STOMPというショーを見に行った。これは楽器ではなく体や身の回りのものを使ってリズムを奏でるもので英語が出てこなかったので十二分に楽しめた。しかし途中から全て同じリズムに感じることもあったので半分の時間なら簡潔でより良かったかもしれないがかなりおすすめできるものだった。今後ニューヨークに行く人は是非参考にしてほしい。
5日目 待ちに待ったNYSEニューヨーク証券取引所へ。ここではまず話を聞いた。一番印象に残ったのは中国の台頭についてだった。今では日本よりも中国の方が活発で取引所内に主な金融に携わる方々の写真があり、一際大きかったのはアリババの社長の写真だった。日本は最近世界で力がなくなってきていると改めて感じた。そしてテレビなどでよく見る多くの画面がある所へ、今年は取引開始の時を見学できた。テレビ番組も撮影されていた。画面は取引が終了した日経などを映していた。辺りを見回していると段々と騒がしくなりベルがなり拍手とともに取引スタート。同時に画面が切換わる。グラフが動き始め、活気づく場内。それはもう感動以外の何物でもなかった。その後水谷さんから「今は証券業界の関係者でも簡単にここには入れない」と教えて頂きとても貴重な体験をさせてもらってるんだなあと改めて感じた。
6日目、7日目、夢のような5泊7日の旅も終わり、飛行機を乗りついで長崎へ戻った。私がこの旅で一番感じたことは世界における日本の存在感低下である。今回この旅行中に思ったのは、NYで日本人がほとんどいない、街中にある新型の機械には日本語版がなく旧型のものにしかついていない、日本のニュースも全く見ないということである。近年の日本の存在感の低下については、訪問先の方が口を揃えて言っていた。このままではいけない。しかし明るい話題もある。最近アメリカではラーメンが人気になってきており町にも“ramen”の文字を実際よく見た。日本がもう一度脚光を浴びるヒントはずばり日本文化である。いまや寿司はかなり浸透しさまざまな形で売られている。このような人気の出る可能性を秘めている日本文化は必ずある。例えば、天ぷら、アニメ、アイドル、他にもいろいろある。日本の企業にはこういった事をうまく紹介でき、浸透させるための事業を展開して欲しいと私は思った。
最後にこのような素晴らしく貴重な旅行を計画して下さった金融知力普及協会の鈴木さん、水谷さん、大学生スタッフの亀山さん、山田さん、見学を受け入れて下さった企業の皆さん本当にありがとうございました。
この経験はどのような形であっても必ず生かしたいと思います。
参加者の声
第12回全国大会優勝:長崎西高校(長崎)山口温大くん
雪だ。2018年4月2日、ニューヨーク2日目、La Guardia空港は雪に覆われていた。この日はボストンに飛び、マニュライフのグループ会社であるJohn Hancock社を訪問、ハーバードにも行く予定だった。それが、朝起きると、外は雪である。もう4月なのに。次のフライトがあることを信じ、空港までは行ったものの、結局飛行機は飛ばず、ボストン行きは断念することになった。こうして、アクシデントから始まったNY研修旅行であったが、今、振り返ると本当に充実した6日間だった。
4月1日。長崎空港から羽田空港、羽田空港から約13時間のフライトの後、ニューヨーク、JFK空港に到着した。ホテルにチェックインし、近くの店でサンドイッチを食べた後、自然史博物館に行った。ナイトミュージアムでもお馴染みの動物の剥製や恐竜たちに会うことができた。次に行ったのはタイムズスクエア。テレビでもよく見るが、本当にすごい。まさに映像建築だ。通りにはたくさんの人種の人が行き交っていた。本当にNYに来たのだなと感じることができた。移動には主に、地下鉄を使ったのだが、ホームにはゴミが多く、ネズミまでいた。メトロカードというチャージ式の回数券があるのだが、磁気カードで壊れやすい。地上の道路も穴があいて凸凹が多い。NYのインフラは老朽化が進んでいるようだった。とはいってもその古さがニューヨークのおしゃれな雰囲気を演出している。日本ではインスタ映えが流行っているが、NYはインスタに上げるのも憚られるほどのおしゃれな街だ。
2日目も、ボストン行きを断念したあと、観光をすることができた。バッテリーパークから自由の女神像を眺め(リバティ島行きの船には長蛇の列が出来ていて断念した)、グラウンド・ゼロ、フェデラルホール、インディアン博物館などに行った。ウォールストリートの名物、ブルとも写真を撮った。この日は水谷さんの美味しいお好み焼きを頂き、翌日に備えた。
3日目。待望の企業訪問が始まった。最初に伺ったのがRussel Investmentだ。Russelではマルチマネージャー、マルチアセットの話を聞いた。Russelでは、世界中のファンドマネージャーを調査し、格付けし、ファンズオブファンドを構成しているそうだ。頂いた資料の中に、大型株、小型株、債権、現物資産、コモディティーなど様々なアセットの各年のパフォーマンスを示す資料があっが、それを見ると、毎年、示すパフォーマンスが異なっていた。このようなデータを分析し、クライアントの要望に合うアセットアロケーションを考えているのだろう。
建築が美しいニューヨーク市立図書館に寄った後、次はCITIに伺った。広いトレーディングルームに入ると、大量のモニターに圧倒される。1人につき6枚ほどのモニターが置かれていた。ここでは、株、債権などの調査部門、実際の取引部門などにエリアが分かれていて、お話を伺った川村さんは、アジア株の調査を担当されているそうだ。時差を考えると、アメリカからアジアでの取引を行うのは難しいのではないかと思っていたが、やはり、時差の問題のためデイトレードよりも中長期的なアジアへの投資が盛んであるそうだ。日本市場の世界からの注目度をお聞きすると、「低い」とおっしゃっていた。日本の市場は変動が少なく、利益を得る機会が少なく、注目度はかなり低いそうだ。これは日本人として残念に思った。しかし、この事実は、この後の研修でも度々聞くことになる。
次に、Bloomberg社へ伺った。ここは、金融の情報を提供している会社だ。ここのオフィスの綺麗さには感動した。オフィスの壁はほとんどが透明なガラス張りで、誰が何をしているかが簡単に分かるようになっている。壁にはいくつも水槽があったり、大きなホールには無料のドリンク、お菓子、フルーツが大量に置かれたりしている。株価の変動で色が変わる照明などもあった。ここでは、出身地などの多種多様なバッググラウンドを持つ優秀な社員が働いて、その人たちが快適に、生産性の高い仕事ができるようになっているそうだ。このオフィスには強い憧れを抱いたが、優秀な社員がいるからこそ、このようなオフィスを作り、生産性を上げることができるのだろうと感じた。
次に、ヘッジファンド、Tiger Pacific Capitalに伺った。ここでは、世界中の様々な会社を調査し、株価が割高、割安のバリュー株を探しだすことを行っているそうだ。NYにいることで、逆に、日本にいても会えない日本企業の社長などとも会うことができるとおっしゃっていたのは意外だった。武神さんには様々な話を伺ったが、中でも、「将来、金融の仕事はお勧めしない」という言葉が印象的だった。金融業そのものにはこれ以上の発展が見込まれず、同じ大きさのパイの奪い合いになるのではということだ。代わりに、フィンテックが盛んになる中で、金融業の周辺の仕事には発展があるのではとおっしゃっていた。将来の仕事を考えている自分にとってはとても参考になる話だった。この後、とても美味しいステーキをご馳走になった。ありがとうございました。
4日目は午前中にメトロポリタン美術館に行った。本当に巨大な博物館で、1時間くらいではとても見きれなかったが、エジプトの遺跡やゴッホの自画像など、有名な作品の本物を見ることができた。世界史を勉強していない理系の僕達にも楽しむことができたが、世界史を勉強している人はもっと楽しいだろう。
その後、日本領事館に伺った。ここには財務部があり、金融の最先端であるニューヨークで調査等を行っているそうだ。ここでも様々な話を伺うことができたが、最も印象に残っているのは「マインド」についてだ。日本では長いデフレの影響で、いわゆる「デフレマインド」が染みついているが、アメリカでは、積極的に投資を行う、前向きな姿勢があるそうだ。確かに、ニューヨークの物価はかなり高い。これには旅行者としては不満を抱いていたが、この物価の高さが経済を支えていると考えてみると納得がいく。また、日本では家計の約半分が預金で運用されているが、アメリカでは、投資信託、株などへの投資の割合が大きい。(これには、公的年金制度の有無なども影響している。)更に、アメリカの企業は、決断力が強く、投資を積極的に行うそうだ。このような、お金を積極的に使おうという「マインド」がアメリカ経済の強さを支えているということだ。そしてもう一つ、強調されていたことが、日本のアメリカでの存在感の低下だ。これは街を観光していても感じられることだ。例えば、NYの地下鉄の券売機には、韓国語、スペイン語などの表示があっても、日本語の表示がないことがある。しかも、最近導入された機械ほど、日本語がない。観光地での案内パンフレットにも日本語がないことがあった。バブル景気時代にはアメリカ人に恐れられるほどだったそうだが、今では存在感が低下していることを感じることができた。領事館の方は、「これを冷静に受け止め、真のグローバル化に備える必要がある」とおっしゃっていた。
金融の企業も今は、ウォールストリートからミッドタウンへと移動しているそうだが、次に訪れたのはウォールストリートにオフィスのある大和投信だ。重厚感あるオフィスからブルックリンを眺めることができた。ここでは、アナリストの仕事についてのお話を聞くことができた。アナリストは株などを分析し、割高か割安かを考えるそうだが、その調査には、PERなどの数値を見る定量的調査と企業面談などを行う定性的調査があり、最近では、定性的調査の重要度が増しているそうだ。企業訪問をしてオフィスが整理整頓されているかを見ただけで、企業の今後が分かるという話も面白かった。
この日の夜はオフブロードウェイのミュージカル、ストンプを見に行った。時差に慣れず眠れていなかったことで睡魔に襲われたりもしたが、言語を全く使わないエンターテイメントは面白かった。
5日目。物価が高いと言いながらデリで朝食を食べた後、NYSE、ニューヨーク証券取引所に行った。NYSEにはアメリカのみならず、世界中の企業が上場していて、本当に国際的な取引場となっている。はじめに、お話を伺ったのだが、近年は中国企業のIPOが多いという話が印象的だった。最近上場した企業の社長の写真や、会社のロゴマークが表示されているモニターなどが多くあったが、確かに、中国企業が多かった。その後、念願のトレーディングルームに足を踏み入れた。テレビでよく見る、あの場所だ。株価が表示されている電光掲示板、慌ただしく動く人々。あの憧れの光景だ。午前9時30分。取引開始を告げるオープニングベルが鳴り響く。取引所内にあるテレビスタジオでも中継が始まる。毎日行われていることなのだろうが、活気に満ち溢れているように感じた。この活気こそが、ここNYが金融の最先端たる所以なのかもしれない。
この後は、国連本部、トップ・オブ・ザ・ロック、エンパイアステートビル(人が多すぎて上れなかった)などに行ったり、買い物を楽しんだりした。
6日目。食料調達に通ったスーパーや、6日間暮らしたホテルに別れを告げ、JFK空港へ。空港ではラウンジに入れさせていただいた。初日に借りた時差の13時間を清算し、あとは羽田、長崎へと帰るだけだ。
振り返ると、最高の5泊7日の旅だった。金融の最先端を見たり、自分の足りないところを認識したり、と本当に実りある研修旅行だった。次にNYに来るときは相応のコミュ力と英語力を持って来たい。また来れますように。
この研修旅行を企画、引率してくださった金融知力普及協会の鈴木さん、水谷さん、大学生スタッフの亀山さん、山田さん、訪問を受け入れてくださった方々、本当にありがとうございました。
参加者の声
第11回全国大会優勝:金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高校(石川)小菊聡一郎くん
ボストンに行った。
向かった先はジョン・ハンコック。エコノミクス甲子園のスポンサー、「マニュライフ生命」と同じグループの会社だ。ハンコックはアメリカ国内で4千人もの社員を抱える大企業で、保険や投資の設計・募集を行っている。まず気づいたのは、日本と比べて一人一人に与えられているデスクが広く、あまりスペースを気にせずに作業ができるようになっていることだ。また、実際に働いている方にお話を伺ってみたところ、全員ではないにせよ多くの社員が9時から17時まで働くのだそうだ。日本でもグローバル化の潮流の中で従来の年功序列型賃金が崩壊しつつある一方でなぜか労働時間はあまりグローバルスタンダードに近づいていかないのは実に解せぬものだ。
それはともかく、ボストンは良いところだった。ハンコックのビルも、街並みも、そして海も、穏やかでとてもお洒落だった。日本人はあまり多くないらしいが、とても日本人向きの町だと思う。
ボストンの話はこのくらいにして、この旅行は「NY研修旅行」、NYについてである。
初日のフライトは急病人を出したり入国審査に2時間半かかったりして予定より大幅に遅れ、ホテルに到着したのはmidnight、タイムズスクエアの喧騒をよそに吸い込まれるがごとに眠った。翌日はアクティビティーとして自然史博物館とメトロポリタン美術館を回った。自然史では生物を中心に見て回る相方とは対照的に、動物がともかく苦手な自分は文化や歴史の展示を見た。世界史を勉強すると展示を見るのが楽しくなるものですね。メトロポリタンではギリシア・ローマ美術やヨーロッパ絵画を中心に見た。美術に関してはあまり勉強してこなかったが、それでも世界史の資料集に乗っている作品を実際に見たり、美しいモネの絵を見たりした時は感動した。今度来るときはもっと美術について学んで味わえるようになりたい。
3日目のボストンに引き続き4,5日目も企業を見学した。まずブルームバーグ、金融情報・金融業向け端末の大手だ。この会社で特徴的だったと感じたところは2つあり、一つは建物が馬蹄型になっていて端から他方の端がみられるようになっている、あるいは会議室のガラスに加工がしてあって正面から見ると透明に見えるが角度をつけると不透明に見えるなど、透明性とプライバシーを上手に両立する空間づくりになっているところだ。もう一つは、食べ物や飲み物を自由にとって談笑できるスペースがあったことだ。他の部門の人とも交流する機会を持つことで柔軟なアイデアが生まれることを期待して設けられたものだと思われる。日本でも一部のIT企業が取り入れているようだが製造業などにも遍く普及したらいいと思う。次に訪れたのはシティ、世界160か国におよそ2億の顧客口座を有する世界有数のグローバル銀行で、通常の銀行業務に加え綿密な企業・市場調査をベースにした投資家への投資アドバイスを行っている。各企業と月に一度接触する機会を持ち、情報を仕入れたり、あるいは、例えば新しいスマートフォンが発売されると投資家の目の前で実際に分解して使われている部品を調べたりするなど企業情報を徹底的に調べ上げることで投資家に有利な情報を提供している。自分でどのような方法をとって調べるか考えて実際に良い運用成果が出た時の悦びというのは計り知れないと思う。さて、そのあと訪れたのはNY証券取引所の近くにある貨幣の博物館だ。エコノミクス甲子園で勉強するような「楽しい」事項が説明してあった。そう、そこで買ったブル・ベアパペットがとてもかわいい。リバーシブルになっており、インテリアとしてオススメだ。強いて言うならベアのほうがかわいい(うしさんごめんなさい)。さて、いよいよNY証券取引所、昨年の新潟は場の寄付きの時に訪れたそうだが、今年は午後4時の大引けだった。株価掲示板がたくさんある部屋(テレビでよく映るところ)に通された。株式や債券などの有価証券以外にも先物などのオプション取引も行っているそうだ。3時59分30秒になると皆で一斉に拍手をはじめ、同50秒、大引けを告げるクロージングベルが轟く。その時の興奮といったらない。
興奮冷めやらぬまま向かうはオフ・ブロードウェイのミュージカル、ブルーマン。先代のNY研修旅行の話も踏まえて、今回は英語があまりできなくても楽しめるパフォーマンス型ミュージカルにした。蛍光塗料をふんだんに使ったドラムパフォーマンスや陣内智則が得意としたような映像ネタ、観客が一体化するペーパーなど、非常に楽しかった。エコノミクス甲子園にこれから参加しようと思っているみなさんもぜひNYにいって、見てください!絶対後悔はしません!
5日目、ラッセル・インベストメントさんにお邪魔した。投資家などに対して、大きなリターンを得るアクティブ運用のプランを提案している。その時はじめて知ったことだが、現在先進国がこぞって行う量的緩和政策は市場の資金をだぶつかせ、金利を押し下げて株式投資の利回りを下落させてしまう。現在の株式投資はパッシブ運用を行うと利回り1パーセント程度になる。だからリスクは大きくなっても利回り5%程度が期待できるアクティブ運用を望むクライアントも多数いるのだ。(ただしアクティブ運用は売買手数料が余分なコストになってリターンが悪くなるためパッシブ運用が近年は評価されつつある)
今回の研修で英語に苦労したのはこのラッセルへの訪問とマクドナルドだった。ラッセルのほうで英語ができなかったのは内容が難解で知らない単語が次々に出てきたため、マクドナルドで通じなかったのは騒音の中で早く喋られたためだ。課題は見えた。練習して英語を十分に使いこなせるようになりたい。
さて、話を戻すと、その後NY日本国総領事館で財務省からNYに派遣された園田さんに現在のリアルな米国についてお話を伺った。まずはトランプ大統領についてのお話。以下その話を聞いて自分が考えたことである。
今回の大統領選挙は非常に不人気な候補同士の対決で直前まで支持も拮抗しており、どちらがなってもおかしくない展開で興味深く見守っていた。結局トランプが制した。終盤に自分の聞いた米国の情報の限りでは優勢はトランプにありそうだったので「やっぱりそうか…」という感じだった。これまでの大統領と一線を画する候補だっただけに本当に就任すると予想していなかった人もいるかもしれない。そうだとしたらその人はこれまでの漠然とした常識に無意識のうちに囚われていたのかもしれない。確かにトランプはあの暴言で、世間に大統領として適さないというイメージを持たれているし、ポリティカルコレクトネスの観点からいっても好ましくないのは確かだ(自分は大統領になるのにポ リティカルコレクトネスが何より大事だとは思わないが)。しかし今のアメリカの社会が彼のような候補を必要としていたということが園田さんの話を聞いて実感できた。年々進む格差の拡大、製造業の衰退、白人中心社会の崩壊、オバマ政権で世界のリーダーの座を守るために”change”できなかったこと、それらに対する不満が、社会を少なくとも2つに分断した。だからこそ、ヒラリーのような既存政治側の候補以外に、彼女らと対立する非既存路線側の候補がトランプであれ、サンダースであれ、誰かしら必要だったのだ。もちろん彼らの支持者の中には本当は好きじゃない人も大勢いたはずだ。それでもヒラリーなら何も変わらないという失望の裏返しとして彼らに期待を込めて支持したのだ。実際トランプが大統領候補になった。こういう背景があるのであればメディアはそのような社会の構図にも注目するべきである。しかるにメディアはトランプの資質を執拗に問題視し、問題の本質を巧みにすり替えた、既得権益を持つメディアの都合によって。だがトランプは負けなかった。テレビや新聞を味方につけられない分TwitterなどのSNSを駆使して反既存政治の人の支持を取り付けた。そして大統領になってのけた。もちろん自分はトランプの政治にあまり期待していない。たぶんうまくいかないと思う。それでも自分はヒラリーよりもトランプが大統領でよかったと思っている。アメリカ社会の現状が浮き彫りになったのだから。トランプの大統領就任は決して偶然ではなく、蓋然であった。
園田さんには、その他にも米国と日本の経済や意識の違い、米国の金融の現状、米国で働くということについてお話を伺った。どのお話もとても参考になるものばかりだった。
企業視察も大詰めとなり、最後に向かった先はタイガー・パシフィック・ファンド。ラッセルと同じくアクティブ運用のファンドだ。お話を聞いて特殊だと思ったのは、タイガーは内需関連株を中心に投資をされている、ということ。内需株の遷移を読むのは日本人に強いが、一方で外需の動きを読むのは困難であり、お話を伺った武神さんによると内需関連株中心にしているのは内需なら海外資本よりも有利な立場に立てると考えてのことだそうだ。お話は日本人の海外留学に移った。日本経済の強さがかえって海外留学を妨げている、とのことだ。もちろん海外留学をすることが誰にとっても好ましいかと言われるとそれは人によるのでこの言葉をどうとるかというのは人によって違ってくるだろ うが、全体としては海外留学するのに向いている人の機会損失になってしまうことを考えるとネガティブにとるべきだろう。ともかく、国内経済の不安定さは外向きになるチャンスであるということだ。多くの東アジア・東南アジアの国々は日本より外需に頼る足腰の弱い経済であるから、家庭が豊かで優秀な学生はこぞって海外留学を目指すが、日本の強い経済は優秀な人材を東京・大阪・名古屋などの大都市圏に集めるに留まり、国外への意識を弱くさせるのだ。経済が発展して留学できる学生が増える一方でかえって学生があまり留学しようと思わなくなるというのは実に皮肉なことだ。
このような話をした後、武神さんにおごってもらってタイガーの金さんとステーキを食べに行った。金さんも昔日本に住んでいらしたということでとても流ちょうな日本語を話されるので最初日本人の方だと勘違いしていたほどで、全員で金融・経済に限らず様々な話をした。驚きのたくさんある時間だった。
6日目・7日目は帰りのフライト。楽しかった思い出を振り返りながら家に帰った。帰りのフライトもまた遅れが出て、家に着いたのは夜遅くだった。
本当に一週間しか経っていないのかと疑いたくなるほど常に新しい刺激を受け、忙しいスケジュールをこなし、そして目いっぱい楽しんだ今回の研修旅行。
こんなすばらしい旅行を計画し、自分たちの引率を引き受けてくださった金融知力普及協会の鈴木さん、水谷さん、大学生スタッフの縄田さん、岡本さん、そして見学を受け入れてくださった各企業の皆様、本当にありがとうございました。この経験はどんな形であれ必ず生かします。
参加者の声
第11回全国大会優勝:金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高校(石川)直江綾太郎くん
4月1日。3月いっぱい学校の補修があったので新学期ギリギリの日程でニューヨークへ向かうことになりました。この日程のせいで大学生のお二人には多大なご迷惑をおかけしたと思います。成田空港で鈴木さん、大学生の二人と合流し、無事出国審査も抜けることができました。この後出発までJALのラウンジへ行かせていただきました。普段はなかなか入ることがない所だったのでずっと落ち着きがなかったと思います。
18時半、ニューヨークへと飛行機が離陸しようとしたその時トラブル発生。自分たちの2つ後ろの席に座っていた子どもが大声を上げはじめて飛行機内は騒然。
「お客様の中にお医者さまはおられませんか」
というドラマのような事態になりました。こうしたドタバタがあったので出発が2時間程度遅れてしまいました。2回目の離陸は無事成功して、飛行機内でもトラブルはなくニューヨークのJFK国際空港に着きました。ここでも入国審査が異常に長く、結局ホテルに着いた時刻は予定よりも5時間程度遅れていました。その日はマックを食べて早々に床に就きました。
2日目、この日は観光だけでした。朝ご飯を食べて、地下鉄に乗ってアメリカ自然史博物館に向かいました。巨大な博物館で展示内容も生物、民族系、宇宙など多岐にわたっていました。僕は広く浅く見たのですが、何かジャンルをしぼってじっくり見たほうがよかったかもしれません。説明文が基本英語なので細かい部分はよくわかりませんでしたが、ティラノサウルスの化石とかはやっぱり見るだけで興奮しました。
次にセントラルパークを横切ってメトロポリタン美術館に向かいました。巨大だと思った自然史博物館よりもまだ大きかったです。世界中の美術品が収集されていて、見て回るだけで疲れました。僕は美術的教養が全くなかったので十分に楽しめたとは言えないですが行っただけの価値があったと思います。その後本屋に立ち寄り、夜ご飯のシュラスコを食べて次の日に備えました。
3日目、ボストンに飛行機で行くために朝6時半にホテルを出ました。ラガーディア空港へ向かう方の道路はスイスイいけましたが、反対側は恐ろしく混雑していました。空港に着き朝ご飯を食べ、飛行機に1時間程乗ってボストンに着きました。ニューヨークとはまた異なった雰囲気の街で、のんびりした空気だったので住んでみたいと思いました。伺ったJohn Hancock 社はまず設備が斬新でした。周りがすべてガラス張りで上の階からはボストン湾を一望できました。また1人1人に与えられたスペースが非常に広く、ほぼ個室みたいだったり、専用のジムがあり、好きな時間に使うことができたりと、集団にとらわれず、自分のスタイルで仕事ができそうでした。話を伺ったところ、John Hancock 社はアメリカだけでなくアジアやヨーロッパにも事業を拡大しており、エコノミクス甲子園だけでなく、ボストンマラソンのスポンサーや教育プログラムの実施など多くのCSR活動を行っているそうです。社会に貢献するという点から見るとこの会社は多大な利益を与えていると思いました。日本人でもあり、この会社で働いている天野さんにもお話を聞きました。天野さん自身はアメリカに来るまでは日本で働いており、残業が多かったそうですが、こっちに来てからは残業をほとんどしなくなったそうです。最近日本ではブラック企業についていろいろ言われているので、アメリカの働き方について興味をもっていたのですが、天野さんの話などを通して、やはり実力を重視するなど少しずつ変えていく必要があるのかなと思いました。僕は一部の会社の働き方しか知らないので大きなことは言えませんが、アメリカで働いた方が仕事もプライベートも充実すると感じました。
サングラスとノートをいただき、ニューヨークに戻るためにすぐに空港に行きました。ボストン観光があまりできなかったのが残念です。ただ、空港で食べたクラムチャウダーは味が濃厚で本当においしかったです。あそこまでおいしいものはなかなかないと思います。ホテルに帰ると本当に疲れていたのでそのままベッドに倒れこみました。
4日目、朝からハンバーガーを食べました。アメリカ滞在中に計3回食べましたが、ここのハンバーガーが一番おいしかったです。その後ニューヨークの街中を歩いているとゴミ箱がいたるところにあるのに気が付きました。日本では街中にはほとんどゴミ箱がないので不便だという意見が多いがテロなどの危険性を考慮して置かないという話を聞いたことがあります。(ニューヨークの方がよっぽどテロが起きそうなのに)日本の方が、ごみ箱が少ないのには疑問を持ちました。ごみ箱がないとポイ捨てが増えてしまい、日本の良さである清潔さが失われてしまうので日本でも絶対設置した方がいいと思いました。
まず Bloomberg 社を訪れました。ここだけではありませんが受付でパスポートを見せて、写真を撮って証明書をもらわなければ入れず、警備員もたくさんいて、改めてすごい所に入ることができるという実感が湧きました。Bloomberg は総合的な経済メディアでテレビやラジオの放送を行ったりキーボードも作ったりしているそうです。食べ物やジュースが置いてあるスペースだけでも4つあるそうで、そのような場からより独創性に富んだアイデアが生まれるそうです。実際にその様子を見ていると、みんなジュース片手に談笑していました。このような柔軟な働き方が企業を発展させていくのだろうと推測できました。
次にCitiへ行き、川村さんと王さんの話を伺いました。証券会社の中にも様々な役割の人がいて、
企業を分析する人の中にはその会社の製品を分解までもして詳しく調べるということには驚くしかなかったです。自分たちとは比べ物にならないくらいの情報収集能力があり、安易に株などには手を出さないようにしたいと思いました。Citi のオフィスはフロアいっぱいにデスクとパソコンが広がっていて圧巻でした。王さんには昼食時にもお話をしていただき、感謝しています。
その後 Museum of American Finance に寄った後、領事館の園田さんと合流し、NYSE=ニューヨーク証券取引所へ行きました。結構テレビでも見る場所なので興奮していたと思います。NYSEは全体の22~23%の会社が外国の企業であり、本当の意味でもグローバルマーケットである、取引所は投資家と会社をつなぐもので私企業でも社会に貢献する場を提供する役割があるなどの話を聞きました。本当にわかりやすい英語で話していただいたのでありがたかったです。そしていよいよ取引所の中に入りました。人があわただしく動き回り、目の前ではテレビ中継をしています。4時の取引終了とともに会場全体で拍手が鳴り響いたときは感動しました。こんなに幸せなことはなかなかないことだと思います。世界中の企業が上場しているとはいえ日本の企業はわずか10社ほどだそうです。まだまだ頑張らなければいけないとなぜか僕が思いました。
一度ホテルに戻った後、ブロードウェイへブルーマンのショーを見に行きました。他のショーは英語がほとんどらしく、日本人にとっては難しすぎるそうなので、英語があまりないというこれを選びましたが大当たりでした。本当のエンターテイメントとはどのようなものかわかった気がします。来年以降行く人もぜひ行くべきです。この後ご飯にエビを山ほど食べて眠りました。
5日目。半径が30㎝くらいあるピザを食べてから Russell へ行きました。正直今回の研修旅行の中で一番英語がキツかったです。英語が聞き取れない+専門的な内容だったので予備知識が不十分だったかなと思います。あとからわかったことも付け加えると、企業の年金や大学の基金も運用しているそうです。自分で理解できなかったことが悔しかったので、英語能力と金融だけでなく、アメリカのバックグラウンドもしっかりと勉強していくべきだったと思います。ニューヨーク公立図書館に寄り、昼食を摂った後、日本国総領事館へ行き、園田さんにトランプが大統領になった背景などを詳しく説明していただきました。日本からお客様気分でトランプ現象を見ていた自分ですけど、お話をきいて日本は大丈夫だろうかと不安になりました。政治の停滞感とか重なる部分があるかと思います。そして園田さんは「日本人が世界で一番英語が下手だ」とおっしゃっていました。世界の第一線で活躍するには英語が最低限のスキルであり、その面では日本人は明らかに劣っています。それはもう個人が英語を頑張るしかないとおっしゃっていました。何となく英語を避けてきた僕には耳が痛い話です。これから本気で英語に取り組もうとここでひそかに決心しました。
最後に伺ったのは Tiger Asia Management の武神さんと金さんです。オフィスからの景色は最高で、ニューヨークが一望できました。ニューヨークにいるからこそわかることがたくさんあり、便利でないところにニーズがあるということを教えてくださり、それを実践する姿はかっこいいの一言です。そのような話を聞いていると自分もアメリカで勉強したいと思うようになりました。ハーバードのMBAをとるには発言をするというのが大きなウエイトを占めているそうです。自分はあまりそういったものに積極的ではなかったのですがそれを変えていきたい、そしてアメリカの中で世界中の人を相手にしてみたい、そういった気持ちが湧いてきました。正直今は全然そんなレベルではないですけど、少しずつ、少しずつ変えていきたいです。
夜ご飯は武神さんにステーキをごちそうしてもらいました。定規で測りたくなるほど分厚かったです。武神さんは経済のことだけでなく、男についてもいろいろおもしろい話をしてくれました。
6日目、あとは帰るだけです。本当にあっという間の一週間でした。今までの人生で刺激的な期間だったと思います。やっぱり英語は大切だということがわかったし、自らに足りないことがたくさんありました。これからの人生でもっと成長していきたいと思います。エコノミクス甲子園に関わってくださった人たちに感謝申し上げたいです。ありがとうございました。
参加者の声
第10回全国大会優勝:新潟高校(新潟)平山一帆くん
英語ができないのです。それも特にリスニングが苦手なのです。いわゆる英弱でしょう。はっきり言うと、贅沢ではありますが、エコノミクス甲子園で優勝した時に、いや決勝の途中から、そのことで心配だったのです。もしかしたらそれが顔に出ていたのではないかとも思います。もともと自分は怠け者であり、高校のEveryday Englishという大学受験に向けての目標も全く出来ずにいました。優勝後、珍しく勉強はしたのですが、それも十分ではありませんでした。
そんな状態でNY研修旅行に臨みました。3月26日。私の誕生日の翌日で、春休みが始まった日でした。まず、午前1時50分ごろという辛い時間にバスに乗って、成田空港へ行きました。午前7時30分。新潟高校クイズ同好会のTwitter(@kentaka_quiz)を更新した後、鈴木さんと大学生3人と合流しました。そして、私の人生で三回目の飛行機に乗りました。初海外です。
ほんの小さなトラブルはありましたが、無事に飛行機は着陸し、いざ入国審査というところで引っかかりました。これが一つ目のトラブル。税関申告書を書かなかったのです。今でもなぜ書かなかったのか分かりません。それでも何とか通してもらい、無事入国しました。空港を出て最初に思ったこと。それは、タクシーが絶え間なく走っていることよりも、車線がとても多いことよりも、煙草臭いと思ったことでした。たまたまです。その他の場所ではそんなにおいは感じ取りませんでした。いよいよタクシー。これが、一日半に及ぶ体調不良の原因でした。道はガタガタして悪く、急カーブでもほとんどスピードを落とさず、わずかな隙間があれば通り抜け、こういうことをされると私は酔うのです。ホテルに着くとすぐにぐったりとしてしまいました。
少し体調が良くなってから、実際にニューヨークの道を歩きました。人が多い。車も多い。クラクションが盛ん。信号無視が多い。やはりいろんな人がいる。いろんな人種がいる。思ったことを羅列してみました。違う国に来たのだなあと感じました。その後、地下鉄に乗ってメトロポリタン美術館に行きました。地下鉄に乗って思ったことは、日本と比べると吊皮がなく揺れやすいので立って乗るのには気をつけなければならないということです。メトロポリタン美術館では、世界史や倫理の教科書・資料集に載ってそうなヨーロッパ・アジア美術や逆にあまり見る機会のない南アメリカ・オセアニア美術、さらに武器・甲冑というものまで見ました。私が特におもしろかったのは武器・甲冑です。どこを見ても隙間がなく、どうやって人を傷つけるのかと思いました。ニューヨークでの初の食事はメトロポリタンの食堂で11$くらいのペンネだったのですが、これが吐き気を催しました。アメリカサイズを無理に食べようとしてしまったためだと思われます。よって、そのあとまわった展示はあまり覚えていません。
ホテルに帰ったらまたぐったりと意識を失うかのように倒れてしまいました。目を覚ましたら夕食です。しかしまだ体調が悪かったので、まさに和洋折衷という言葉が似合うその寿司をあまり食べることができませんでした。でもおいしかったです。
次の日はまた体調が良くなったはずなのですが、ホテルから空港に行くときにタクシーを使ったのでまた酔ってしまったのです。飛行機内でもぐったりしていて、飛行機内で出されたオレンジジュースさえも飲めない状態でした。ボストンについてもぐったりしていました(三回目)。ここで酔い止めを飲みました。実は酔いやすいのにここが人生初酔い止めで、酔い止めをそれほど信じていなかったのですが、効くではありませんか。自分には食わず嫌いなところがあるのですが、それがまた一つ治ったと思いました。
本題に戻ります。最初の企業訪問で、ボストンのJohn Hancock Life Insurance社に行きました。主に社内見学をしましたが、とても広く開けた感じのオフィスだと思いました。しかし、とても緊張してしまい、全く英語を聞きとることができませんでした。その後、水陸両用バス(ダックツアー)に乗りました。そのガイドさんの英語はとてもはやく他の現地の方はそのガイドさんのジョークに笑っているのに英語が分からないから笑えないという状況になってしまいました。ただ陸上・水上から見るボストンの街はとてもきれいで、有名な大学なども見ることができました。ボストンの空港に戻り、ボストンのものが特に知られているというクラムチャウダーを食べました。具がたくさん入っていて少し熱かったですがとてもおいしかったです。
天候によりボストンの空港からの出発が遅れてしまった後、無事に帰って夕食を買いにピザ屋に行きました。ピザは六分の一×二枚を買ったのですが、その六分の一ピースは人の顔ぐらいあり、これがアメリカサイズなのかと再度認識しました。事実、最後のほうはまあまあ辛かったです。
三日目にはRussell Investments社に行きました。時間の関係上あまりいることはできませんでしたが、初めて「日本についてどんな印象・考えを持っていますか?」という質問をすることができました。相手の方に自分の英語が通じたようなので、それはとても嬉しかったです。また、私には読むのに1カ月以上はかかりそうな洋書もいただきました。この後、メリーゴーラウンドに乗っている小幡君の動画を撮り、New York Public Libraryに行き、アメリカ自然史博物館に行きました。ここで印象に残ったのはコンドルなどの剥製です。もともと私は鳥類が好きなのですが、世界中の鳥を見ることができて色々な発見をすることができました。ここで鷲、亀、梟のぬいぐるみを買いました。そしてTiger Pacific Fundに行き、武神さん、金さんという方々の話を伺いました。これまで英語が分からなかったので、日本語で話を聞くことができて良かったです。今(正確な数字は忘れてしまったのですが例えば)ここに十万円あったら何に使うという質問を私たちに対し武神さんがされ、私たちは貯蓄・貯金すると答えました。その後の武神さんの話から、やはりこれが日本の縮図のようなもので、何かモノ・サービスを買ったり運用したりすると答える日本人が少なく、外国と比べてそういった意識は低いのだなと思いました。武神さん、金さんからお話を伺った後、ステーキのお店に連れて行っていただきました。ステーキはボリュームが大きかったですが、ここで昼食を抜いた効果が出ました。とてもおいしかったです。
四日目には、NYSE(ニューヨーク証券取引所)に行きました。取引が始まる9時30分に大きな拍手が起こります。中央の方ではニュース番組の撮影が行われていて、日本でも見たことがあるような気がします。普通では入れないところだと言うので、そこに入ることができたのは一生の思い出になると思います。貨幣博物館ではアメリカの昔使われていた貨幣や経済の歴史などを見ました。その後、ワンワールドトレードセンターに行きました。ここに入るとき荷物検査があるのですが、リュックの中にナイフと見えないわけでもないよい感じの長さのものが入っているということで引っかかってしまいました。これが二つ目のトラブルです。でも私はバトンのような棒状のものを入れていないので「これ?」などと聞くこともできません。もう一度通すことで無事通り抜けることができましたが、未だに何が引っかかったのか分かりません。ただ私は、その棒状のものがうつった場所からパスポートケースの紐ではないかと思っています。展望台は400mちょっとの高さだそうですが、そこから、航空機の不時着で「ハドソン川の奇跡」で知られる川や、数々のビルを見ることができます。ただ残念なことに、自由の女神を見るのを忘れてしまいました。そこで最も印象に残っているのはエレベーターです。上昇するとき、ちょうど展望台から見たときと同じようなニューヨークの街を見下ろした映像がエレベーターの3面に流されました。そのスケールがとても大きいと思いました。そしてCitibankにいきました。そこでまた話を伺いました。そこで分かったことは、日本とアメリカの上司と部下の関係についてです。日本では敬語や敬称が一般には必要で、親しいということはそれほどないですが、アメリカでは英語に敬語や敬称が少ないために、上司に意見するなど積極的なのだそうです。日本人にもそういった積極性があればどんどん意見が交わされていくことになるので今後の日本の発展によりつながっていくのではないかと思いました。あとの方々はすべて外国人の方で、聞こうという努力はしましたが、もし「どんな話を聞いたの?」と聞かれても「ああ、債権とか株式についてだよ」などとしか答えられないくらい理解できず、とても悔しい結果に終わりました。これはトラブルといってもいいでしょう。ペアの小幡君はどんな話をしているかくらいは理解できたそうなので、尚更です。五日目にPinebridge Investmentsにいきましたが、これもほとんど聞き取れず、英語力はそんなに急上昇するものでもないなと実感しました。帰って夕食はエビづくし。一カ月分くらいエビを食べたのではないかと思います。
五日目は、先ほど言った通り、Pinebridge Investmentsで数人の方から話をしていただきました。昼食は、メキシコ料理CHIPOTLEで野菜(葉やトマトなど)、少し辛い豆、米、サイコロ状のステーキを合わせたものを食べました。見た目に反してこれはおいしいです。お勧めです。バランスもよさそうですし。その後、日本国総領事館に行きました。そこで園田さんという方から、ニューヨークから見た米国経済・金融について話を伺いました。米大統領選挙でトランプ氏・サンダース氏が支持を集めている背景から、アメリカ国内の経済格差が是正されていないことに対する不平不満が高まっているそうです。2,007年にリーマンショックで金融危機がありましたが、それは表面上は終わったようで実はまだ続いているとおっしゃっていました。その後、Bloomberg社へ社内見学に行きました。ここで驚いたことは、ずれているような気もしますが、社内にある果物や菓子類、飲料などが全て無料だということです。日本ではブラック企業が流行語になるほど話題になっていますが、仕事にはこのような環境というものも必要なのだと思いました。そして、最後として大学のバスケットボール大会(NIT)の決勝戦を見に行きました。ジョージ・ワシントン大学というところに渡邊選手という日本人がいて、その活躍を生で見ることができて良かったです。その後ニューヨーク最後の夕食としてFIVE GUYSというハンバーガーショップに行きました。個人的にこれが一番おいしかったです。ハンバーガーレギュラーサイズ一つで約1000キロカロリーなのですが、ボリュームが凄かったです。
帰りのホテルから空港までは酔わずに済みました。これは本当に良かった。出国・入国は少しもたつきましたが大きなトラブルなく良かったです。
ここまで時系列順にだらだらと書いてしまいましたが、ニューヨーク研修旅行ではもう二度とないような経験をすることができたので、これをどのように将来につなげていくかを考えてみたいと思います。
ほぼペアの小幡君の力で優勝したエコノミクス甲子園全国大会。大変でしたが、本当に貴重な経験をすることができました。初日、二日目と大きな迷惑をかけてしまい、これを送るのも遅れてしまったりしてとても大きな迷惑をかけてしまいましたが、付き添いとして来られた鈴木さん、水谷さん、大学生ボランティアスタッフの北島さん、浜田さん、松原さん、訪問を承諾してくださった企業や機関の方々、エコノミクス甲子園に携わった方々、本当にありがとうございました。
ニューヨークでこれまでに会った日本人の方に聞いてみてもほとんどの方が英語に苦労したとおっしゃっていました。しかし、努力すれば英語はできると思うので、私も英語を重視しできるようにしていきたいと思います。また、来年もし優勝するつもりの方は、英語も鍛えた方がよいのではないでしょうか。
参加者の声
第10回全国大会優勝:新潟高校(新潟)小幡尚輝くん
深夜二時に目を覚まし、着替え荷物を確認したところ家に迎えのバスが来ました。真っ暗な高速道路の景色をぼうっと眺め揺られること四時間半、成田に到着。久しぶりに来た空港や初体験のラウンジに気持ちが高揚し、眠気も吹き飛びました。JFKまでの十二時間フライトで一睡もしなかったほどです。そして、これから始まろうとするアメリカでの六日間はもっともっと刺激的でした。
一日目。着くと、NYは昼前でした。JFKからタクシーに乗り、ホテルに向かいます。流れゆく石造りの建物を眺めながら、あちらこちらに散乱しているゴミが気になり、いきなり日本の清潔さを感じました。マンハッタンに入ると、様々な人種の人であふれかえっています。外見が違っていても普通に接している姿に、アメリカの歴史が映し出されています。因みに仮装している人がたくさんいるのはイースターだからということでした。マリオット・マーキースに荷物を置いて、メトロポリタン美術館を見学しに行きます。古今東西の遺産があり、半日で見るには多すぎますが、ギリシア、ローマの作品は特に見る人を引きつける力がありました。他にも教科書で見たことのあるようなものもあり、十分楽しみました。その夜は、アメリカらしい寿司を食べ、次の日に備えました。
二日目。研修初日は、早起きをしてラガーディア空港からボストンへ飛びました。最初に訪ねたのはJohn Hancock Life Insuranceです。フロントで待っていると担当の方がいらっしゃり、英語のコミュニケーションが始まりました。いきなり流暢な英語で挨拶され、たどたどしい返事しかできませんでした。その後、社内を案内してもらいましたが、スピードについていけず、半分すら理解できませんでした。展示物を見て時代に合わせて進化してきた歴史を理解したり、ボストンマラソンのスポンサーであることを知ったりすることで精一杯で、アメリカ英語の洗礼を受けました。
続いてのダックツアーも運転手の方がものすごい早口で、他のお客さんが笑っていても笑えませんでした。ただ、水陸両用バスは初めての体験でしたし、わからないなりにも英単語を拾い集め、これがハーバードなのだなとわかったり、ボストンは落ち着いていて住みやすそうだなと考えたりしていました。本場の英語に疲れましたが、鈴木さん、水谷さんお薦めのクラムチャウダーをボストン空港で食べて元気が出ました。天候のせいでニューヨークへの飛行機がひどく遅れましたが、他の日は晴れていてよかったです。
三日目。この日の朝は余裕があったので、ホテル近くの店でフレンチトーストを食べました。量が少ないと思って頼んだのにやはりアメリカサイズでした。
少しゆっくりした後、Russell Investments訪ねました。社内を見学すると、John Hancock Life Insuranceもそうでしたが、開放的な社内、色とりどりのインテリアで、日本の堅苦しいデスクのイメージとは正反対で働きやすそうでした。実際、ニューヨークで働くのは楽しいとおっしゃっていて、働きたいと思える環境でした。ただ実を言うと、「ニューヨークで働いてみてどうですか?」というべきであるのを「ニューヨークで働いてみたらどうですか?」と英語で質問していたことに終わってから自分で気づきました。大変失礼なことを申し上げてしまいましたが、意をくんでくださりありがとうございました。
その後は近くの公園で回転木馬に乗ったり、ニューヨーク公立図書館でお土産を買ったりしてからアメリカ自然史博物館に行きました。解説文がわからないものもありましたが、巨大な隕石や恐竜の展示には圧倒されました。
夕方になり、TIGER PACIFIC CAPITAL L.P.の訪問で、ここでは日本語で会話することができ助かりました。長年ニューヨークで生活をなさっている武神さんと東アジアにアイデンティティをもつ金さんとのお話の中で、自分がどれだけ日本式の考え方にはまっていたかに気付かされました。日本では集団意識が強く、飛び出しているものは悪いものとして扱われます。この日本人の意識はしばしば日本国内でも非難されることがありますが、日本の歴史の中でじっくりと培われてきたものなので、変えることは相当難しいと思います。つまり、個人レベルで、自分の意見をはっきり伝えるのがグローバルスタンダードであることを自覚していないと世界で戦えないのです。また、アメリカは日本よりも努力する人が報われる仕組みになっており、このままでは日本のトップ層が海外へ流れてしまうかもしれないことを考えていました。しかし、その仕組み故日本よりアメリカは上位と下位の分布が広いことを聞いて、デメリットも大きいと思いました。このことはニューヨークに来てからすでに感じていました。日本ではまず乞食を見かけませんが、アメリカでは地下鉄の駅で何度か目にしました。さらに想像よりも多くの人がお金を渡していたことから、そのようなやり取りがなければ成り立たない貧富の差の現実を目の当たりにしました。日本も格差は確実に広がっているので、NYへ連れていってもらった者として、これからさらなる努力とその成果を社会へ還元したいと強く思っています。
夕ご飯は、The Capital Grillというお店で武神さんと金さんとステーキをいただきました。楽しいお話と初めて見る厚さのステーキに大満足でした。
四日目。まず行ったのは、誰もが一度はテレビで見たことのあるNYSE。MarkさんとCitiの中山さんに案内さた部屋でお話を聞きました。コンピュータの発展により、人が活気の象徴の役割となっているところもあるそうです。その後フロアに連れていってもらうとあのテレビで見る世界が広がっていました。たくさんの電光掲示板、鳴りやまぬ電子音、せわしなく行き交う人々、すべてに感動しました。9:30のオープニングベルをフロアで一緒に拍手できた時には、エコ甲優勝して良かったと思いました。続いてNYSEの歴史の展示ブースに進んで証券取引の機械にまでエジソンが関わっていたのかと驚いたり、安倍首相が演説した壇上で演説ポーズをとったりしました。
Museum of American Financeを見学してから向かったのはワンワールドトレードセンターです。厳重な手荷物検査を終え、102階の展望台から見た雲一つない青空とニューヨークの美しい景色は今でも目に焼き付いています。
続いて訪問したのはCitiです。中山さんの案内で、日本人女性の川村さんから仕事内容の説明や質問に答えていただきました。印象に残っているのは、日本とアメリカにおける年齢と地位の考え方の違いです。日本では今なお年功序列が色濃く残っています。これは秩序が保たれやすい利点もありますが、上司であってもファーストネームで呼び合うのが一般的なアメリカと比べるとデメリットの方が大きいと思います。会社を発展させるためには、より良い人間関係で自分の意見を素直に伝えられる環境の方が様々な考えが生まれやすく有利ですから。その後部屋を移動し、昼食をいただきながら、七人の女性の方からお話を聞きました。ここでも自分の英語学習の不足を痛感しました。特に仕事の詳しい内容は苦しかったです。自分が聞き取った範囲では、債券や株を扱うものからサステナビリティを評価するものまで、金融・経済の仕事といっても色々あるのだとわかりました。またそれぞれの方のバックグラウンドを聞いていると、様々なことを経験してそこから学んだことを活かして今の仕事についた方もいて、学生の時から多くのことに挑戦したいと思います。話はそれますが、この時にエコ甲についての説明を英語でさせていただき伝わったと思うので良い経験ができました。
ずっと英語で大変でしたが、この後ハイラインへ行き、夕方の街並みや自然に癒されました。あと、夜はBubba Gump Shrimptでたらふくエビを食べました。
五日目。研修最終日です。デリでハンバーガーを食べてからPine Bridge Investmentsを伺い、四人の方にお会いしました。熱心に債券についての説明をいただきましたが、英語の力が足りず、ほとんどわかりませんでした。日本語であったらもっと理解できたであろうと思うと、悔しいです。学生時代に世界を見てくることの大切さや、数学が統計、論理思考の点で仕事に生かされていることがわかりました。
その後MOF NY officeを訪れ、園田さんから米国経済についてお話しいただきました。米国大統領選挙は誰が当選するかだけに目がいきますが、大統領候補の勢力図から国民の不満が浮き彫りになりました。ここにもやはり貧富の格差があるのです。また、金融危機がまだ終わっていない見方ができることに驚いたり、経済を多面的にとらえることを学んだりしました。
最後の訪問はBloomberg。外から見て面白い形の建物だなと思いましたが、中はさらに衝撃的でした。まず、社内はきれいで、できるだけ障害がない造りになっています。仕切りが少なくなっていたり、U字型の建物で同じ階が広く見渡せるようになっていたりして、通信社としての開放性・透明性が表されていました。次に階を上ると、ドリンクや果物、お菓子がたくさん置いてありました。これらはスポンサーからの提供で、社員の方は無料で利用していいとのことです。働いていて気持ちいい環境づくりによって勤めている人もやる気がでるのもわかります。本当に美術館みたいでした。
NY最後の夜は、大学バスケの決勝戦を見に行きました。バスケに興味があるわけではないのですが、Citiの中山さんから日本人が出場することを聞いていたからです。両大学の大応援団や謎のダンスタイムなどとても盛り上がりました。日本人のYuta Watanabeさんはスタメンとして出場し、得点を決めた時は日本人として嬉しかったです。結果、Yutaさんの大学が優勝し、楽しく会場を後にしました。
六日目。朝六時にチェックアウトし、あとは帰るだけでした。JFKまでのタクシーでアメリカの風景の見納めをして飛行機に乗り、機内で爆睡しました。
本当に夢のようでした。見るものすべてが真新しくて、すべてが充実していました。ただ唯一の悔やまれることは自分の英語が使えるレベルになっていなかったことです。日本の英語のぬるま湯にどっぷり浸かっていたせいで、エイゴは辛い体験をしました。ですがこの研修旅行中に世界経済の第一線でご活躍される日本人の方と出会い、そのような方でも英語で苦労なさっていたことを知りました。いただいたアドバイスをもとに何としても身につけます。また、大学で経済を学ばないにせよ、どんな分野にも金融経済はかかわっています。エコ甲、NY研修で学んだことを毎日大きくさせ、実際に活用していきたいです。
そして何より、鈴木さん、水谷さん、スタッフの御三方、平山くん、大変お世話になりました。ありがとうございました。このメンバーでとても楽しかったです。
これからの時代、必要とされるのは英語力と金融知力なのだなと思っていると、夕焼けに染まる新潟に着きました。
参加者の声
第9回全国大会優勝:宮崎西高校(宮崎)井上桃子さん
3月22日、午前4時起床。
武蔵小杉でホームが長すぎて成田エクスプレスが到着しているのに気づかず乗り損ねそうになりながら乗車。東京スカイツリーを臨む荒川の橋を過ぎて、ようやく明るくなっていく空を眺め、居眠りしていると、降りる駅を間違えました。二人でスーツケースを引いて走り、なんとか周遊シャトルバスに乗ってターミナルに到着……。
波乱の旅の幕開けでした。
777-300の翼を傍らに、西海岸の橙色の夜景や凍てついたエリー湖の上空を行き、12時間のフライトを経て着陸したJFK空港は摂氏2度。極寒です。
JFK空港からマンハッタン島まで、日本のように完全に舗装されていない道路を交通マナーもおざなりに走るバスに乗り、マッチ箱のような市営住宅が橋を越えると巨大なビル群に代わるのを眺めているとアメリカ・ニューヨークに来た実感がわき、少なくとも宮崎ではありえないな、と思いました。
宿舎となるマリオット・マーキースに荷物を置き、途中で昼食をとりながら徒歩45分かけて最初に向かうのは国連本部、のはずでしたが、2分遅れの差であえなく入れず、ロックフェラーセンターの展望台を見学することになりました。途中で立ち寄ったグランドセントラルには、天井や飾り窓に、星座やそれにまつわる彫刻が施されていて、忙しく行き来する人々の生活に密着しながらも、歴史を感じさせる駅の様子がとても新鮮に映りました。展望台では、時差ぼけ解消の仮眠を挟んで日なかから暮れあいまでのニューヨークを見渡し、翌日からの研修に思いをはせました。またニューヨークからはどこでも見えると思っていた自由の女神が遠く豆粒大に見えるのは個人的にかなり衝撃的でした。
3月23日。
研修初日、一番に訪れたのはRussell Investments。訪問先1社目からオールイングリッシュで臨まなければならないという緊張の中、準備していただいた資料を基に、Russell Investmentsの歴史や業務についての説明をしていただきました。具体的な話を交えながら、とてもていねいにご説明いただきましたが、専門的な金融の話になると、やはり聞き取れない部分が多く、自分の語学力不足を痛感し、とても悔しい思いをしました。理解できた範疇では「建設的な思考」「対人関係のスキル」が重要であるというアドバイスをいただきました。
この日は2つめの訪問先まで時間が空いていたので、自由の女神が見えるバッテリー・パークに行きましたが、風が強く非常に寒かったので、すぐウォール街に移動し、25日に向かうことになるNYSEの外観をみて「勉強したやつと同じだ!!!」と興奮したりエコノミクス甲子園でお馴染みのブル・ベアのブル(雄牛)に因んだ銅像と写真を撮ったり、ハラル・フードの屋台でチキンライスを食べたり、アメリカ・インディアン博物館で呪術系の人形と目があったりしていました。
在ニューヨーク総領事館では、「経済・金融のグローバル化に如何に対応するか」というテーマのもとお話していただきました。在ニューヨーク総領事館は、ニューヨーク連邦準備銀行のはす向かいに位置しており、当初は日露戦争の戦費調達を目的として設置されたそうですが、現在はニューヨークの投資家と話をし、その情報を日本に送ることを主な業務としているということで、金融の要は、情報であり、グローバルな人材として活躍するためにも「英語が非常に重要である」というアドバイスをいただいたり、少子高齢化という日本が抱えている深刻な問題を軸に今後の日本経済の行く末についての見解を語っていただいたりしました。
続いて伺ったのはTIGER PACIFIC CAPITAL L.P.、社長の武神さんです。お話の中では、ハーバードビジネススクールのロケーション(場所)、インダストリー(業種)、ファンクション(役割)に優先順位をつけて就職を決めるという考え方、自分が輝いていた時の共通点を探すことを通して自分にあった仕事を見つけるBest selfという方法が興味深いと感じました。また、私は特にここで単に仕事に急くだけでなく、社会へのギブバックや家族との触れ合いも大切にしている武神さんの生き方の姿勢にあこがれを感じました。
この日の夕食は、在ニューヨーク総領事館の大沢さんと武神さんにステーキハウスにご招待いただき、歓談を通じて楽しい時間を過ごしました。
3月24日。
朝からメトロポリタンミュージアムを見学しました。正直、それほど楽しみにはしていたわけではありませんでしたが、古代エジプトやローマの神殿、中世の教会や宮殿が再現された館内の各部屋を巡る度に夢中になり、2時間弱の限られた時間でまわらなければならないのを惜しく感じましたが、再びニューヨークを訪れたときのための楽しみにすることにしました。
この日、最初の訪問先となる三菱UFJセキュリティでは、主に社内見学をさせていただきました。ここでは、マーケットの部門別に席を固め、チーム戦で戦いながらも、インサイダー情報が漏洩しないよう個人の部屋やロック付きの部屋が多く用意されていました。取引のために用いる複数の画面がついたコンピュータや専用のキーボード、電話を見たのはここが初めてで、非常に印象に残りました。また、社内では自由に飲み物や果物が提供されていて、日本のいわゆるブラック企業との職場の違い、働き方の違いを考えました。
次に訪れたPINE BRIDGE investmentsでは、再びオールイングリッシュでした。滞在3日目ともなると少しは英語に慣れたのか、前日よりは聞き取ることができ、私たちの質問にジョークを交えて答えていただくことができましたが、反対に「日本の若者は日本についてどう考えているのか?」という質問をされた際に、自分の考えを伝えられず、歯がゆい思いをしました。
夕方には初日に諦めた国連本部に向かい、運よくミレニアム貧困目標の会議をしている場にも一瞬だけ立ち会うことができました。ちなみにここでは潘 基文国連総長をはじめとする歴代国連総長のポストカードが1枚65セントで販売されていて、小銭を消費しつつおみやげを買うのにとても助かりました。
また、この日の夜は、ブロードウェイでミュージカル「WiCKED」を鑑賞しました。初見のストーリーを予習なしで見たため、内容や劇中のジョークで理解できないところもありましたが、言葉がわからなくとも生のオーケストラの演奏や歌、本場ブロードウェイの大胆で華やかな演出は十分に楽しめました。
3月25日。
この日は、はじめに、私が研修の中で最も楽しみにしていたNYSE‐ニューヨーク証券取引所を訪れました。エコノミクス甲子園の勉強を始める以前からニュースなどでも頻繁にみる場所で、ニューヨークの忙しない環境を体現した場所のように思っていましたが、実際にお話を聞くと、作業のデジタル化の流れに伴って、人数が減り活気も衰えており、数年後には、象徴の役割も不必要になり、NYSEそのものが消滅してしまうかもしれないということを知り驚きました。またここでは、壁一面がスクリーンになった部屋で広報の映像を見せていただき、近未来的な部屋にスターウォーズみたいだなあと興奮しました。
続いて伺ったCity Bankでは、私たちをNYSEにも紹介していただいた中山さんの案内で、実際に取引時間中のマーケット市場に入れていただき、数十秒おきに鳴る電話や周囲の呼びかけの声の中でそこでお仕事されている女性にお話を伺い、金融の熱気を肌で感じました。また、昼食はエグゼクティブ・ルームで御馳走になり、NYSEにご紹介いただいたCity Bankの中山さんや日本人社員の方、また今回、エコノミクス甲子園史上はじめて私たち女子チームが優勝したということもあってか、女性キャリアの方々を紹介していただきお話を伺いました。ここでは特に中山さんに予定していた時間以上に幅広くお話をしていただき最後にして最大に充実した訪問となりました。
思えば、優勝してから一か月、高校を卒業し上京や大学入学手続きを済ませる傍ら、慌ててパスポートを取りに行き、旅立つ、ほとんどはじめての海外旅行でした。入国審査で引っかかることもパスポートをなくすことも迷子になることもなくて本当によかったです。(ホテルの部屋のカードキーは1枚紛失しました)ありがとうございました。
参加者の声
第9回全国大会優勝:宮崎西高校(宮崎)宝蔵花穂さん
エコノミクス甲子園全国優勝を果たし手に入れた今回のニューヨーク研修旅行。憧れの地であったアメリカ、ニューヨークでの5日間を通して、私のこれまでの考え方や視点は大きく変わりました。私の夢をより具体的に大きくしてくれたこの旅を、ニューヨークという街、メインの企業訪問の様子、そして研修旅行を通して変化したことの3点を中心にレポートしたいと思います。
私たちが今回訪れたのは、ニューヨーク市のマンハッタン島。ジョン・F・ケネディ空港に到着しマンハッタンに向かう車の中からみた摩天楼の迫力は、12時間のフライトの疲れも吹き飛ぶほどのものでした。
マンハッタンの街でまず日本との違いを感じたのは、道路の荒さと建物のデザインの斬新さです。あまり整備されていないデコボコした道をハイスピードで走る車に乗ると、ジェットコースターに乗った時のような恐怖を一瞬感じることもありました。また、マンハッタンの建物はとにかく高く、そしてガラス張りのものが多くあります。私は、以前訪れたことのある韓国のソウルとどこか似ている景色に、地震の少ない地だからこそできるデザインなのだろうかと日本との違いに気付かされました。また街並みを観察すると、現代風の高層ビルから石造りで歴史を感じさせる建物まで、新旧が共存している所が印象的でした。
いざ車を降り街を歩いてみると、今度は人種の多様さに驚かされます。黒人に白人、アジア系など様々な容姿の人や、一見日本人なのにネイティブの英語を話し出す人を見ていると、移民の国と呼ばれるアメリカを肌で感じることができます。同時に、外見の全く違う人々がお互いを尊重して生活している姿に、アメリカ人の他者への寛容さを見ました。
ニューヨークといえば多くの観光スポット。訪問する企業数が例年以上のため観光する暇はあまりないと伺っていましたが、実際終わってみると、国連本部ツアーやロックフェラーセンターの展望台、タイムズスクエアでのショッピング、バッテリーパークからの自由の女神見物、メトロポリタン美術館散策、ミュージカル「ウィキッド」の鑑賞などかなり満喫していました。特に将来の選択肢として国連職員を考えている私にとって、国連本部で193カ国の国旗や実際使われている会議場を見たことは、ここで働きたいという私の思いをさらに強くしてくれました。
ニューヨークの街に欠かせない要素として「食」があります。5日間を通して私たちは、高級レストランのステーキから、屋台のハラルフードまで様々な食を味わうことができました。最終日には念願だったアメリカの寿司を食べ、海外ならではのマンゴー入りカリフォルニアロールの美味しさに驚かされました。アメリカというと、高カロリーなジャンクフードばかりというイメージがあります。しかし5日間見ただけでも、お馴染みのハンバーガーからオーガニックのスムージーやサラダ、またイスラム教徒も安心のハラルフードや世界各国の料理など、実際はそこに生活する人々と同じだけニューヨークの食には多様性がありました。
このようにマンハッタンには、多様な食、文化、建物などまさに「人種のるつぼ」といえる光景が広がっていました。今は短い期間の研修を終え、次はもっと長く滞在してこの街を知りたいという思いが募っています。
今回の研修旅行において、私たちは2、3、4日目の3日間で7箇所もの企業や取引所を訪問させて頂きました。債権や株、投資信託や為替など様々な分野で働く方々とのお話はとても刺激的なものでした。
2日目にまず訪れたラッセルインベストメントでは、現地のアメリカ人女性お2人からオールイングリッシュで説明をして頂きました。ネイティブの英語のスピードに圧倒されつつ、手渡された資料を見ながらの理解に努めました。信託においてDesign、Construct、Manageの3つの過程を経て業務を行っているというお話や、仕事する上でどこで働くかということは重要だというお話が印象に残っています。2社目のMOF、日本の財務省の領事館では、実際に外交官をしていらっしゃる方からお話を聞くことができました。日本語で得られる情報量は英語のそれに比べて圧倒的に少ないということ、また幼い頃から金融に関する教育が充実しているアメリカの制度についてのお話を頂き、世界という舞台で戦う私た ちにとっての英語や金融知力の重要性を改めて感じました。3社目のタイガーパシフィックキャピタルは日本、中国、韓国の内需関連株を取り扱っており、3カ国3人の方で創設された会社です。地上46階からマンハッタンを一望できるオフィスで、社長の方から仕事内容や私たちの職業選択において大切なことについてのお話を伺いました。特に私がなるほど、と思ったのは、職業分析をするときはロケーション(場所)、インダストリー(業界)、ファンクション(機能)の3つに優先順位をつけ、内2つは満たすような選択をせよということです。将来についてこのように整理された考え方をしたことのなかった私へ大切な指針を教えて頂きました。
1日で3社回るという盛り沢山な2日目を終え、3日目にまず訪れたのは三菱東京UFJ証券です。日本人社員の男性にフロア内を案内して頂きました。大量のコンピューターが整然と並べられた広い部屋や、比較的偉い方がいらっしゃる個室、またインサイダー情報取り扱いのため外からは見えないようになっている部屋などを見せていただき、エコノミクス甲子園で得た知識と実際の現場とを比較したり重ね合わせたりすることができました。国籍の異なる人が共に働くときにはコミュニケーションに誤解が起きやすく、人としての誠意が重要になってくるというお話が心に残っています。次に訪れたのはパインブリッジという運用会社です。これは後で分かったことですが、アセットアロケーションと株取 引、それぞれの会社トップの方からお話を伺うことができました。オールイングリッシュで日本の経済のこれからについての質問を投げかけられたりと戸惑いもありましたが、とても密度の濃い時間でした。日々は常に変化しており毎日勉強し続けねばならないという言葉を聞き、まずは英語のスピーキング能力を鍛えて自分の考えを伝えられるようになりたいと強く感じました。
時差ボケがようやく治ってきた4日目、私が最も楽しみにしていたニューヨーク証券取引所、NYSEを訪問しました。エコノミクス甲子園の対策で外見を覚えていたあの建物が目の前に現れ感動に包まれたのもつかの間、いざ中に入るとグラフや英語だらけのコンピューター画面を前に働く人々や、テレビで見たあの流れる電光掲示板、テレビの生放送収録などその活気に圧倒されました。日系アメリカ人のスタッフの方に英語で案内して頂き、フロアやオープニングベル、会議場についての説明を受けました。出来るだけ英語でコミュニケーションを取りたいと思いスタッフの方にくっついて歩いていると、その方は日本食ではナスとカレーがお好きだという情報を得ることができました。世界金融の中心地 としてのNYSEの光景とその活気は私の胸に強く刻まれています。最後の訪問先として訪れたのはシティバンク。フロア見学では、女性社員の方からお話を伺いました。私たちが訪問したのはまさに取引真っ只中の時間帯。お話ししている間もしょっちゅうコンピューターに顧客からの通知が来てそれに女性が対応し…と業務される姿を生で拝見することができました。このフロアには女性が多いことが特徴で、メンタルケアを充実させているそうです。フロア見学を終え、オフィスの最上階のお部屋で昼食をいただきながら、日本の4人の方とお話しました。みなさん金融の仕事に至ったキャリアは様々でしたが、やりがいや誇りをもってお仕事されている姿に憧れを感じました。日本経済についての話題になった時は 、楽観的なものや悲観的なもの、日本を外から見たそれぞれの意見を聞かせていただき、経済は視点により様々な見方があることを実感しました。
これらのニューヨーク研修旅行における企業訪問や観光での学びを通し、私の中で2つのことについての見方が大きく変わりました。
まずは英語についてです。今回の旅で気付いたのは、アメリカ人はちょっとしたコミュニケーションを大事にしているということ。アメリカ人は個人主義とよく言われますが、実際行ってみると店員さんと、エレベーターで会った人と、などちょっとしたコミュニケーションをとる場面が多いように感じました。旅行前は高校までに習った文法を使えば何とかなるだろうと思っていましたが、実際買い物などをしてみると、相槌のレパートリーの少ない私は彼らのフレンドリーさについていけないことが多く、コミュニケーションを重視した英語ももっと鍛えていきたいと考えるようになりました。
次に人生の進路についてです。今回の企業訪問でお話しした方々は、実に様々な経歴やバックグラウンドをもっていました。大学で経済やファイナンスを専攻していたとは限らず、文学や美術史を学んでいた方もいます。多くの方は大学院やビジネススクールで専門知識を学ばれたそうです。てっきり大学や高校の頃からこの業界を目指されていたものだと思っていた私には驚きでした。大事なのは、人生のある地点で一度立ち止まって自分自身を振り返り、道を選択し、それを実行に移す努力をすることなのだと思いました。今はこれからの大学生活を通して、選択の柔軟さや自分を客観的に見つめる力を身につけていきたいと感じています。
最後になりましたが、私たちにこのような大きく貴重な機会を下さったすべての皆様に感謝の気持ちを伝えたいと思います。経済という分野を通して、様々なことを教えてくれたこの大会に出場して本当によかったと思います。ありがとうございました。
参加者の声
第8回全国大会優勝:県立千葉高校(千葉)池田麟太郎さん
4月1日。友達に、「NY行きは飛行機の機材到着が遅れたために急遽中止になりました。」前日に用意していたにもかかわらず結局言わずじまいに終わってしまったエイプリルフールの文面を削除しつつ、成田空港をあとにJFK国際空港へと向かいました。フライトは13時間ほど。以前父親の仕事の都合で海外生活を経験していましたが、これだけ長いフライトは初めてで、13時間も何すればいいんだ……と直前まで頭を悩ませていましたが、結局いい案も浮かばず、機内では映画を見たり、寝たり、音楽を聴いたり、ゲームをしたり……。だらだらと過ごしました。
JFKに無事到着し、空港内の英語の広告を見て、「ああ、アメリカに来たんだなあ」と実感しました。ちなみに内容はバイオマスに関するものばかりでした(流石はアメリカ)。空港からは一応パックツアーでの旅行でしたので、ツアーガイドの方がホテルまで案内してくださいました。ホテルは超一流ホテルで、「こんなとこに泊まるなんて、庶民の自分は逆に気疲れしてしまう……」などと思いながらも、ふかふかのベッドの寝心地を確かめてうきうきしていました。
初日の午後は特に企業訪問の予定がなかったので、NY市内を観光しました。最初に行ったのは大人気のハンバーガー店、マクドナルド!!ではなく、いわゆるグルメとしてのハンバーガー専門店のBurger Jointというお店で腹ごしらえを……と思って行ったのですが、なんとすごい行列!!並んでいる人の数50人といったところでしょうか。1時間ほど待ってようやくバーガーにありつけました。味は大味ながら肉の厚さと焼き加減がとてもよくできていて、非常に満足な出来栄えでした。その後、ロックフェラーというビルにのぼりました。向かい側にエンパイア―ステートビルが見える、NYでもトップクラスの高さを誇るビルで、下をのぞきこむと足がすくむのがわかりました(高所恐怖症のため)。それから、タイムズスクエアに行き、例の赤い階段のところで少し夕涼みをしました。人が大勢いて、NYの人の多さを改めて実感しました。その後、近くのお店をのぞきこんだりして、疲れてもいたのでホテルに戻り、ゆっくりと休みました。
2日目は朝から企業訪問でした。朝食を近くのdeli(朝食がとれるカフェのようなところ)で食べ、準備万端。最初はRussell Investmentという投資信託の会社を訪問しました。案内してくださった方の中に日本人の方はいらっしゃらなかったので、英語での説明を受けました。先述の通り僕は海外にいたことがあったので、英語は多少は聞き取れると思っていたのですが、思ったよりも経済に関する専門的な話をされるとわからないことが多くて、やっぱりまだまだなのかな……と感じました。投信については、Russellがほかの投信を行っている企業とはどういった点で違うのかを熱心に説明していただきました。一番のポイントは、数字で顧客を判断するのではなく、実際にお会いして、そこでお話をして判断するという、人を見ているということが、Russellの一番の大きな特徴だそうです。
続いて、昼食をその辺にある屋台で売っているラムご飯(羊肉と野菜との炒め物×サフランごはん)をいただき、ニューヨークにある総領事館へ向かいました。そこで日本人の方と、NY総領事館がどんなことをしているところなのかなどの説明をいただいたのち、しばらく経済についてお話をすることができました。アメリカから見た日本や海外、そしてアメリカ国内の情勢などについて学ぶことができました。
総領事館の後は、経済に関する二つの博物館をめぐりました。米国経済史についていろいろと説明がされていたのですが、午前中に英語をガッツリ聞いて疲れていたので、正直展示されている作品の英語の説明はちょっときつかったです。その後、tiger pacificの武神さんというお方とお会いして、ヘッジファンドの仕事について学びました。気さくなお方で、非常に面白い話をしてくださいました。tigerの会議室でお話を聞いたのち、武神さんもご一緒して、ステーキハウスに行き、ごちそうになりました。アメリカのステーキは日本のそれとは大違いで、ボリュームもさながら、焼き方もアメリカンで、非常にインパクトがありました。ボリュームも味も大満足でした。
3日目、朝食は2日目同様deliで食べ、午前中は、今回の研修旅行の際にいろいろと手牌をしてくださったcitibankの中山さんという方と合流して、まずはBloombergという情報発信会社を訪れました。そこで社員の方に案内していただいたのですが、その最中に超有名なアナリストの方と偶然お会いすることができ、日本から来た高校生ということで少しの間ですがお話をすることができました。経済に関するラジオ放送に彼は出演しているそうなのですが、なんと、そのラジオ放送の中で、日本から来た高校生のことを少しの間ですが紹介していただくことができました。本当に貴重な体験でした。放送後、再びお会いすることがありまして、その際に、将来経済を志すうえで絶対に読んでおいた方がいい、彼おすすめの論文を教えていただきました。これから勉強するつもりです。
Bloomberg社の後は、次の千葉銀行の訪問まで少し時間があったので、中山さんのおススメで、Momaの現代美術館を見て回ることになりました。あまり絵画には造詣が深くない自分でしたので、よくわからなかったのですが、それでも、美術の教科書などで見たことがあるような作品がいくつか展示されていて、「ああ、ここに展示されていたのか~」と驚いていました。
昼食の後、千葉銀行のニューヨーク支店を訪問しました。地方銀行でニューヨークに支店を持っているのは千葉銀行を含め3行のみだそうで、私たちの母校の出身でいらっしゃる行員の方にお話を伺うことができました。また、千葉銀行では、実際に電話で取引をするところを見せていただきました。電話一本で何億というお金が動くことに、お金っていったいなんなんだろう……と素朴な疑問を抱いていました。
千葉銀行の後は、再び中山さんと合流して、citibankの社内にご案内していただき、citibankの歴史についてのビデオを見させていただきました。米国経済史はあまり知らなかったので、よくわからないことも多かったのですが、米国の発展の背景にはcitibankの存在が大きくかかわっていたことを知りました。
citibankを訪問したのちは、メトロポリタン美術館の開館時間が多少あったので、せっかくなので行ってみようということになり、メトロポリタン美術館に行きました。が、ついた時にはもう閉館15分前ということで、あまり見て回ることはできませんでした。目的の特別館についた時には、もう展示スペースに幕が下ろされていて、見れなかったのが少し残念です。メトロポリタン美術館の広さを痛感しました。
夕食は海鮮料理(特にエビ)をいただきました。その海鮮料理店の斜向かいにトイザラスがあったので、待ち時間にちょっと様子を見に行ってきました。トイザラスの店内に観覧車(日本の観覧車の基準からすると小さい&とても速い)があって、「店内に観覧車を作ってしまうなんてアメリカンな発想だなあ」と勝手に感心していました。その後、これでもかというくらいエビをいただき、非常に満足な一日でした。
4日目は朝からNYSC(ニューヨーク証券取引所)に中山さんと一緒に行きました。その日は、ちょうど上場する企業が3社あったようで、そのうち2社が上場する瞬間に、フロアーで立ち会うことができました。上場の瞬間、フロアーはとても活気に満ち溢れていて、上場すると、初値を決めるためさらに場内は熱気に満ちていました。ちなみにそのうちの1社は食品デリバリーサービスの会社だったようで、PRも含めて、ドーナツをNYSC内で配っていました。もちろんおいしくいただきました。(笑) その後、NYSCの重役のお方とお話をすることができました。NYSCについての疑問や、最近の世界情勢などについて、ご意見をいただくことができました。
その後、citibankのNYにおける業務を行っている支部に移動して、そこの重役専用ダイニングでcitibankに勤めていらっしゃる日本人の方3人と昼食をいただきました。コース料理はめったに食べないので、不慣れな手つきで多少不安でしたが、何とかなった……のではないかと思います。そのお三方とはどちらかといえば経済の話というよりは、NYで生活していて感じたことなどをお話していただきました。
4日目の昼以降はそのcitibankのダイニングに代わる代わる社員の方がいらして、それぞれ専門とする経済の分野についてのお話をしていただくというスケジュールでした。お三方と食事をした後は、超先端現場でバリバリ活躍していらっしゃる3人の方と、中山さんもご一緒に、経済について非常に専門性の高いお話をいただくことができました。また、citibankがどういう点で優れているか、アメリカの企業は日本のそれとどう違うのか、などについてもお話をいただきました。さらに、豊富な人生経験から、いろいろな生き方の指針になるようなお話も聞くことができました。非常に楽しいひと時でした。citibankをあとにするときはもう営業時間は過ぎていたのですが、その後も現場で株の取引きを行っていらっしゃる社員の方と最後にお会いすることができました。彼は日本株をアメリカの顧客向けに売っているそうで、営業時間外で人気のないオフィスに残ってまでなぜ日本株を売るのか尋ねてみると、「日本株はいい株だから」と自信ありげに答えてくださいました。その言葉に、「ああ、日本のことをこんなに思ってくださる人がいるのか」ととても感銘を受けました。きっと彼は将来素晴らしい行員になれるのではないかと勝手ながら思っています。
citibankから一度ホテルに戻り、その後ニューヨークメッツの試合を見に行きました。ちなみにcitibankの訪問が予定を大幅にオーバーしていた(それほど楽しいひと時でした)ので、ついたのは7回表のころでした。また、小雨も降っていて、非常に寒かったので、8回裏が終わった時点で帰ることにしました。が、その短い間にも、2本のホームランが出るなど、非常に見ごたえのある展開で、とても面白かったです。私は、野球を生で感染すること自体が初めてだったので、球場の雰囲気なども新鮮で、とてもいい経験になりました。
最終日は荷物をまとめて飛行機に乗り込むだけでした。偏西風の影響で行きより多少長い14時間近いフライトでした。行きも帰りも退屈なのはあまり変わらず、ぼーっと過ごす時間が非常に長かったです。あまり眠れなかったので、成田に着いたころには正直へとへとで、その後空港で解散し、家路につくころにはもう満身創痍でした。翌日から学校だったので、非常に憂鬱な気分で、つい先ほどまでNYにいたことがまるで幻想だったかのように感じられました。
NY研修を通して、本当に貴重な経験をすることができ、一回りも二回りも成長できたように感じられます。この場を借りて、NY研修旅行に付き添いとして一緒に来てくださった鈴木さん、並びに水谷さん、現地でお世話になったcitibankの中山さんをはじめとする方々、また、エコノミクス甲子園に携わってくださったスタッフのみなさん、そしてエコノミクス甲子園を共に戦った全国の高校生に、感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。
参加者の声
第8回全国大会優勝:県立千葉高校(千葉)並木亮さん
日本時間の朝八時半。成田空港で鈴木さんと池田と合流。飛行機に乗るのは初めてではなかったが、海外に行くのは初めて。十数時間のフライトも初めてだった。時差ボケに備えて、飛行機の中でぐっすり眠れるよう徹夜してきたが、肝心の機内では飛行機の騒音や緊張でほとんど眠れなかった。そしてそのままアメリカに入国することになった。
入国審査を難なく終え、車でマンハッタン島へ向かう。車窓を眺めていると始めは普通の住宅街だったが、ニューヨークの中心部へ近づくにつれて摩天楼の佇みが見えてくる。しかし東京とは全く違った空気が漂っている。地震の心配がないからだろうか、それとも文化の違いだろうか。
JFK空港から1時間程度かけて、InterContinental New York Times Square Hotelに到着した。チェックインを終え、リッチな部屋で荷物の整理をしていると、少し前からさらにリッチな部屋に滞在していた水谷さんがやってきて四人で航空券に付いてきたハンバーガーのクーポンを使おうということになる。
早速地下鉄を使ってミッドタウンへ。1時間列に並び、入った店はスペインのバーのような雰囲気だった。ハンバーガーのハンバーグはステーキのようだった。その後、超高層ビルで有名なロックフェラー・センターに向かう。最上階は展望台というより屋上で、空気が涼しかった。そしてタイムズスクエアやブロードウェイを通りつつ、ヤンキースショップに寄り道してホテルに戻り、すぐにベッドに倒れこんだ。
十数時間の睡眠の後、すっかり元気を取り戻し二日目である。最初に訪れたのはRussell Investmentsという投資信託会社。説明は全て英語。17年間何をやってたのかいうくらい、何もわからなかった。”make sense?”と言われても呆然としているしかなく、殆ど何も理解も質問もできずに終わった。途方もない言葉の壁を感じ、悔しさが込み上げてきたが、何とかやるしかないと決意をする。
午前中でぐったりと疲れたところ、屋台でランチを買いウォール街のオアシスで少し休憩する。午後はまず在ニューヨーク日本領事館の方のお話を聞いた。アメリカ政府がメガバンクへの規制を強めようとしている話を聞いた。有意義な質問もできたと思う。一番印象に残っているのは、アメリカでは「失敗もキャリアの一つとして評価される」ということである。日本では失敗を恐れて萎縮してしまう風潮が蔓延しているため、積極姓の点で失敗を必要不可欠な経験とみなすアメリカに大きく立ち遅れているのではないかと思う。
次にFRBミュージアムを見学して、マンハッタン島南端のバッテリーパークまで散歩した。鈴木さん曰くバッテリーとは砲台という意味らしい。公園では最近の暖かさのおかげでリスが一斉に冬眠から醒めたらしく、子どもと一緒にはしゃぎ回っていた。そして、タイガーマネジメントというヘッジファンドを起ち上げた武神さんと会った。キャリアや仕事観の話を聞いて、だからこそ武神さんはニューヨークの摩天楼に居ることができるのだなと感じた。
その後、武神さんに連れられ5人でステーキハウスに向かう。今度はインフォーマルな空気の中、人生観などの話を聞いた。さて、出てきたステーキやベーコンはモンスター級の大きさで一度食べたら、日本のステーキはステーキとは思えなくなるだろう。とはいえ、旅行中の食べ過ぎには何度も後悔させられていたので、腹八分目に抑えてステーキを満喫することができた。
2日目の興奮が残り、なかなか寝付けず3日目を迎えた。
3日目はまずシティバンクの中山さんと会い、情報配信会社のブルームバーグを訪れた。ブルームバーグのオフィスはとても開放的(Transparent)であった。建物の機能性を重視する日本に比べ、この国では建物に象徴性を求めているのだろう。道中、骨董書店に立ち寄り、ハーバード大の物理の教科書と科学の方法論の本を購入した。もちろん全文英語で、いつか読み進められる日が来ればよいが。
3日目は比較的予定が空いていて、その後に中山さんの勧めるmoma美術館に行くことができた。しかし、現代美術はあまりに抽象的で理解の範疇を超えていた。同じ年くらいの美術学校の女生徒たちが何やらスケッチをしている横でゴッホやピカソの有名な画を見て、前にテレビで見たことがあるぞと頷くくらいだった。それでもまた機会があれば訪ねたいと思った。
そして午後は千葉銀行のニューヨーク支店を訪れた。高校の先輩があちこちで活躍されているそうで、少し嬉しかった。また、目も眩むほどのお金の調達を電話でしている場面を見せていただき、興奮したし同時に少し不思議な気分になった。机から立ち上がらずに一生暮らすのに困らないほどのお金を動かせるなんて。
その後、再び中山さんと合流しシティバンクにてシティバンクの歴史のビデオを見せていただいた。そのまま駆け足で閉館間際のメトロポリタン美術館に向かい、見られる限りの物を見て回った。中でもカトリックのステンドグラスの美しさは宗教の壁を超えるほど格別だった。おそらく、全部をしっかり見て回るには数日はかかるだろう。
ホテルに戻り、晩御飯へ向かった先はシーフードレストラン。待ち時間にはトイザらスの建物に行って、ビルの中に10m近くの観覧車があって目を見張った。料理はエビ、エビ、エビ。海産物もとても美味しかった。そしてすっかり満腹で3日目を終えた。次の4日目のハードスケジュールに備えてぐっすりと眠った。
4日目は小雨。夜のメジャーリーグの心配はさておき、まずニューヨーク証券取引所(NYSE)を訪れた。その日上場するらしい企業の着ぐるみから、ドーナツを手渡される。小さな映画館のような一室で、NYSEのPRムービーを見て説明を受ける。すると、もうすぐ上場が始まるぞと言われメインフロアへ。もうお祭り騒ぎのフロアを一回りすると、たくさんの液晶と睨めっこをする職員やテレビのクルーなどで人が溢れている。英語の数字を叫ぶ声が空中を飛び交って、さあ、初値が着く。フロアは一転拍手に包まれた。
その後、会議室に移ってまたNYSEのお話を聞くことができた。NYSEでは95%の業務が電子的に行われ、人間の仕事は残りの5%だけらしい。人間とコンピュータの調和にはこのくらいのバランスが適切ということも言われた。つまり、コンピュータが仕事をこなしているため普段のメインフロアはもっと閑散としているということらしい。これからも様々な面でコンピュータが人間に取って代わることはあるだろう。しかし、先の上場のお祭り騒ぎのような人間味溢れる出来事は決して欠かせないものだと思うし、その点で人間にしか成し得ないミッションがあると思う。
証券取引所から出ると、どんよりとした雲は相変わらずだったが、小雨は上がっていた。昼食はシティバンクの方々と一緒にすることになっていたので、それまでの時間でまず、NYSEの隣のフェデラルホールを見学。アメリカの首都がニューヨークだった頃の議会の建物である。そしてシティバンクに向かう。
シティバンクでは重役専用食堂にて、日本人職員の方たちと昼食を頂いた。かなり緊張して、味はよく覚えていないが海外生活の暮らしぶりやエピソードを聞けたのは新鮮だった。その後も女性や若手でバリバリ活躍している方の話を聞くことができた。ストレートな質問にも真摯に答えてくださり、とても充実していた。その後、もう既に業務時間は過ぎていたがトレーディングルームを見学させていただくことができた。
シティバンクの見学を終えて、気が付く19時前。メッツの試合は19時開始。雨も降ってきた。急いでホテルに戻り、着替え、地下鉄でスタジアムに向かう。試合中盤には間に合い、ホームランを二本も見ることができた。雨が本降りになってきたところで引き上げる。ホテルに戻ろうとするが夕食をとっていないことに気づき、2ドルで大きなピザを二ピース買い、2ドルで12オンスのペットボトルの水を買う。深夜にホテルで食べたピザの味は何よりも一番よく覚えている。そして朦朧とした意識のまま、ニューヨーク研修のほとんどを終えた。
翌日は日本へ飛行機で帰るのみ。朝寝坊をしたおかげで、ドタバタとお土産を買ったり荷支度をしたりきりきり舞いだった。制服を危うくホテルに忘れるところであった。そこからは無事に日本へ辿り着いた。親の迎えに来てくれた車に乗りながら夢心地でニューヨーク研修を振り返っていた。
訪問先でお会いした方々からは、大変多くのことを学ぶことができこの場を借りて感謝の意を示したい。付き添ってくださった水谷さんと鈴木さんには、短いながらもたくさん迷惑をかけてしまったけれども、様々な面で懇切にサポートしてくださり、また、様々なアドバイスをいただき、大変ありがとうございました。相棒の池田も特に英語面でサポートをしてくれてありがとう。
夢うつつの日本は雨上がりで、夕方の茜色の空と二本の虹が異国帰りの自分を歓迎してくれるようだった。
参加者の声
第5回~第7回全国大会優勝者のNY研修旅行レポート
第5回~第7回優勝者のNY研修旅行レポートは大会報告書をご覧ください。
参加者の声
第1回~第4回全国大会優勝者のNY研修旅行レポート
第1回~第4回優勝者のNY研修旅行レポートはこちらをご覧ください。